バルサはなぜあんなにも強いのか
――その今日のバルサ。改めてお聞きしたいのですが、「なぜあんなにも強いのか?」。この問いにミスターはどう答えられるのでしょう。
「答えはもう既に何度も述べているはずだ。敢えて繰り返せば、それは他ならぬ彼らの普遍の哲学に貫かれた歴史、たゆまぬ努力の積み重ね。おそらく、このバルサが築き上げたものは、今後のサッカー界に2度とあり得ない歴史と言えるのではないか。
かつて彼らが今に繋がる歴史を積み重ねていた過程で、しかしそこに今日のメッシのような存在はなく、したがって美しくも勝てない時期が短くはなかったわけだが、それでも彼らは諦めることなく一歩一歩、たゆむことなくその歴史を積み重ねてきた。他ならぬ努力の賜物。これこそがバルサの強さを裏付けている」
――そのバルサのサッカーを、バルサの宿敵であるファビオ・カペッロはどう評価しているのでしょうか。
「心から尊敬し、またこれ以上なく高く評価している。さきほども述べた通り、あれだけの強さを持つチームがいてくれたからこそ、それに挑む喜びを私は得ることができた。そして昨季のCL決勝、舞台となったウェンブリーのスタジアムに私もいたんだが、あのマンUをまるで二流以下のチームのように見せたシャビ&仲間のプレーに、本当に心からの惜しみない拍手を送ったものだ。実に素晴らしいチームをグアルディオラは作り上げてみせた」
――このバルサは今後さらに強くなっていくのでしょうか。
「そう確信している。むしろ、一体どのようにして彼らが今よりも強くなっていくのか、それを見るのを本当に楽しみにしているというのが正直なところだよ。
いずれにせよ、この夏のメルカートにおけるサンチェスの獲得は実に的を射た補強だ。チーム戦術の本質を変えることなく、だがサンチェスの加入で間違いなく攻撃の幅は大きく広がるだろう。昨年のビジャ獲得に続く流れであり、そこにグアルディオラの明確な意志を読み取れると同時に、彼らが“イブラヒモビッチの失敗”を教訓としていることの証左でもある。
ユベントス時代にイブラを配下に置いていた私は、当然のことながら彼をよく知るわけだが、そのプレースタイルがバルサにフィットしないことは明白だった。イブラとは組織戦術という枠の中でひとつの駒に留まるべき選手ではない。イブラが真価を発揮するには、あくまでもチームで絶対的な存在でなければならない。したがってバルサでは実力の半分も出せず、だがユベントスやインテル、ミランでは常に試合を決める男であり続けることができる。つまり、イブラとバルサの関係を見れば、改めてバルサの強さの理由を正確に量れることになる」