3月11日から5日間にわたって、国内屈指の大学サッカーイベント「第5回大学サッカーフェスティバル in 霧島」が開催される。今回は、昨季インカレで優勝した早稲田大をはじめ準優勝の福岡大、3位の鹿屋体育大のほかに、流通経済大、立命館大など国内12チームと、韓国の大学4チームの計16チームが参加。各地域リーグ開幕を間近に控えた強豪トップチームが集い、熱戦を繰り広げる。近年では大卒Jリーガーが増え、実質“育成の最高機関”となっている大学サッカーの現在を絡めつつ、大会実行委員長である籾井徹司氏(九州国際大サッカー部ヘッドコーチ)に、大会の概要や目的を聞いた。
籾井徹司(九州国際大サッカー部ヘッドコーチ)/聞き手:ひぐらしひなつ
九州で大学サッカーの現在を体感する
──大学サッカーフェスティバルが第5回を迎えます。この大会は九州の大学にとって、他の地域の大学と対戦できるいい機会ですね。
「大会委員長である日本経済大の久保山雅彦監督と一緒に、普段はなかなか交流できないチームと試合をする機会をつくろうと話し合って立ち上げたんです。九州の大学は、強化遠征に行くか全国大会に出るかしなくては、そういう場がなかなか持てないですからね。スタートは自分たちのチームの強化目的というところで、それぞれの人脈を通じていろいろな大学に声をかけました。そこに九州から近い韓国のチームも呼べれは、関東のチームにとってもメリットになるんじゃないかと考えたんです」
──今回は初の霧島開催ということですが。
「去年までは福岡のフットボールセンターなどで開催していました。霧島には過去にキャンプで何度かお邪魔しているのですが、役所の方々が熱心で、芝生も手入れが行き届いているんです。御厚意で優遇して貸してくださるということなので、今年は霧島でやってみようと。流通経済大は宮崎で、びわこ成蹊スポーツ大は綾町でと、九州で合宿している大学もそのまま移動してくるかたちです」
──最近は九州内のユース年代でも、力量のある選手が関東や関西の大学に進学するケースが目立ちます。また昨年のインカレ決勝で、福岡大も個々の力ではそれほど見劣りしないのに、早稲田大に圧倒された印象がありました。
「これには難しいところもありまして、サッカーだけの環境を見ても、大学専用グラウンドを保有しているかどうかなどで、九州は関東や関西に比べると遅れています。選手たちにしてみれば、どうせサッカーをするのならより恵まれた環境でやりたいと思うでしょう。レベルの高い選手が九州から関東・関西に流出しても、その逆に、向こうからこちらにいい選手が来るというケースはほとんどないですよね」
──最近は実力が拮抗している印象ですが、以前は九州にも、高校選手権の常連となっている強豪校がいくつかありました。ただ、キックアンドラッシュのスタイルが目立ったせいか、九州のサッカーにはそういうイメージが残っているのかなという気もします。
「Jリーグのスカウト担当の方々に話を聞くと、年度によっては他の地域でも、大学サッカーのレベルの伸び悩みを懸念する声もあるんです。でも、それを別にしても、確かにここ数年は一気に、九州リーグの質が落ちたのではないかという気がしています。選手個々のレベル自体は、従来に比べてもそれほど変わらないとは思うんですが」