4月23日 Jリーグ再開
4月23日。時折激しい雨が降りしきる中、等々力競技場に駆けつけた1万5030人のサポーターは、Jリーグ再開を告げるキックオフの笛を待っていた。
迎え撃つ川崎フロンターレは、「Mind‐1ニッポン」を合言葉に中長期的な復興支援活動を行ってきた。それは今日現在も継続中だ。各種のチャリティーイベントはもちろんのこと、選手、スタッフが募金箱を持って何日も街頭に立っている。川崎がJクラブの復興支援活動の旗頭的存在であることは広く報道されている。
仙台サポーターが集結したゴール裏には、こんな横断幕が掲げられた。
「宮城の希望になろう 共に歩もう前を向いて」
「全ての仲間にありがとう。故郷を取り戻すまで俺達は負けない」
「あの風景をとり戻す 雄々しく立ち上がろう」
川崎サポーターは有志の直筆メッセージで敷き詰められた横断幕を広げた。
「FORZA SENDAI がんばれ! 仙台・宮城」
互いのサポーターが、ライバルチームの名を心の底から連呼した。
キックオフ直前の電光掲示板に、仙台に対するメッセージ映像が流された。BGMは川崎と縁深い森山直太朗の「さくら」。
映像に登場した岡山一成は、半泣きでベガルタ仙台のチャントを歌い、叫んだ。
「この歌が、大好きです!」
映像の最後はこう締めくくられた。
「2011・4・23 親愛なる仙台に敬意を表し」
「川崎フロンターレは全力で 勝点3を掴み取ります――」
「J再開幕」
選手入場。
「カントリーロード」の荘厳な歌声が仙台ゴール裏から響き渡った。
川崎サポーターが一瞬、静まり返った。すぐに力強い太鼓の音とともに、「川崎フロンターレ!」のコールが「カントリーロード」をかき消した。「カントリーロード」の歌声が、それに呼応するように大きくなった。
試合前の黙祷。完全な静寂が等々力競技場を包んだ。
14時5分、Jリーグ再開を告げるホイッスルが、高らかに鳴り響いた。
JFAハウス9階のJリーグ事務局内競技運動部内に、3月11日の連絡網をとったホワイトボードがある。決して目立つ場所にあるわけではないが、事務局員の全く目に入らない場所にあるわけでもない。ただ、当たり前のようにそこにある。「多分誰も、文字を消したくないんでしょうね」。中西はいった。
【4月23日・ヤマザキナビスコカップ開幕まで、あと44日】