3月15日 第1回臨時合同実行委員会開催
3月14日、J1第3節、J2第3節~第4節、および3月16日より開幕予定のヤマザキナビスコカップ予選リーグ第1節~第2節の全試合の開催中止が発表された。余震が続いていること、また、電力事情により一部の地域で停電する可能性があることから、スタジアムおよび来場者の安全確保等を考慮した判断に基づいたものだ。
3月15日は、14時からJリーグ理事会が予定されていた。その理事会開催の前に、緊急の「臨時合同実行委員会」を開催することが決定された。直接甚大な被害を被ったモンテディオ山形、仙台、水戸ホーリーホックは参加することがかなわなかった。
水戸とは連絡のみ取ることができた。沼田邦郎代表取締役社長の回答は「水戸を離れる手段がありません。ライフラインの確保、選手スタッフの安否確認に終われている最中です」というものだった。何かと参加できた鹿島アントラーズの井畑滋代表取締役社長からは鹿島の道路、スタジアムの損壊が想像以上に凄まじいと報告を受けた。
そして、仙台。仙台とは3月11日以降も連絡を取ることすらままならなかった。ベガルタ仙台代表取締役専務の安孫子博に「状況だけでも教えていただきたい」と手を尽くしたが、あらゆる連絡網が麻痺しており、かなわなかった。
水戸、山形、そして仙台が不参加のまま3月15日12時、JFAハウス内Jリーグにて1回目の臨時合同実行委員会が開かれた。地震が11日に発生した後、臨時合同実行委員会を開催することは13日から、各クラブへと通達が開始されていた。しかし、この時期は、新たな情報が時々刻々と分かり始めた時期でもあった。各地の被害の規模、電力供給の問題、原発の問題――。
事前に合同実行委員会開催のために準備していたことが、数時間後にはもう、役に立たない。「想像以上の事態」。つまりそれは「想像していた事態をはるかに超える事態」だった。
実行委員会の中では、まずJリーグ中止の経緯が説明された。再開の条件についても当然話題にはあがったが、とてもそれを話し合う時期ではなかった。
そこで、今後の取り組みについて、論点を3つに整理した。
1.Jリーグはこれまで地域に支えられて育ったリーグ。復旧作業などで役に立てることがあればその公共の利益を最優先すること。
2.選手、スタッフ、観客にとって安心して観戦できるスタジアム及びインフラ整備がいつ確保できるか。現状把握とその目処を逐一報告する。
そして3つ目。
3.Jリーグ再開にあたって、被災クラブにどこまで配慮するのが正しいのかを見極める。
ガスがなければ、シャワーは浴びることができない。水がなければユニフォームの洗濯ができない。ガソリンがなければ選手たちは集合することもかなわない。「これら3つの条件が100パーセント整うことは難しい。しかしこの3つの観点に基づき、どこまで整えば再開していいものかどうか、事務局の考え方を整理しました」(中西)
この3つの考え方を各クラブが持ち帰り、1週間後の3月22日14時に「第2回臨時合同実行委員会」で新たな話し合いの機会を持つことが決まった。各クラブ、それぞれが異なる状況の中、1週間後の議論となるアンカー(碇)を打ち込んだ。15日に行われたJリーグ理事会において、東北地方太平洋沖地震に伴う慈善試合(チャリティーマッチ)の取り扱いを決定した。その規約に基づき、申請を出すことで各クラブが慈善試合を企画・開催できるようになった。
【3月15日・Jリーグ再開、白紙】