複数のタレントを持つビッグクラブの宿命
数的有利となったモウリーニョ監督は、すかさずDFアルベロアに代えてMFモドリッチを投入。マンチェスター・UはDFブロックとボランチの間を自由に動き回るモドリッチをつかまえられず、何度となくチャンスを作られる。
後半21分、モドリッチに強烈なミドルシュートを叩き込まれ1-1。その4分後には、モドリッチの縦パスから起点に崩されると、最後はC・ロナウドに決められて1-2。これにより、マンチェスター・Uは勝ち上がるためには、3点以上が必要になった(レアル・マドリーがアウエーゴールの数で上回っているため同点の場合はレアル・マドリーの勝ち上がり)。
ファーガソン監督は後半28分のルーニーの交代を皮切りに、アシュリー・ヤング、バレンシアとアタッカー3人を送り込んで点を取りに行ったが、レアル・マドリーのGKディエゴ・ロペスの好守にはばまれゴールならず。マンチェスター・Uは決勝トーナメント1回戦でチャンピオンズリーグ敗退となった。
結果的に香川に出番は訪れなかった。だからといって、香川に実力がなかったから出られなかったのかというと、そうではない。退場者が出て、10人で得点を奪いに行かなければならない、特別な状況になっていなければ、香川が出ていた可能性は高かった。
だが、パワープレーで追い上げなければならなくなったことで、サイドをドリブルで突破してクロスを上げられるヤングやバレンシアが出ることになった。それぞれ個性を持った実力者がいて、試合展開によって使い分けられる。これはマンチェスター・Uというビッグクラブにいることの宿命といっていい。
マンチェスター・U、香川のチャンピオンズリーグが終わってしまったことは残念でならない。だが、香川はユニホームに着替えることなく終わった試合を振り返って、こう誓っているはずだ。来シーズンこそは、どんな展開であっても試合に使われる、絶対的な存在になってみせると――。
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