ベンチスタートとなった香川
香川真司はまさかのベンチスタートだった。3日前のノリッチ戦でアジア人初のハットトリックを達成したことで、香川のレアル・マドリー戦のスタメン出場濃厚と思われた。しかし、ファーガソン監督はプレミアとは別のチームでCLに臨んできた。
香川をスタメンから外したマンチェスター・ユナイテッドは、アウエーでの1stレグ(1-1のドロー)と同様に、低い位置でDFブロックを作って、レアル・マドリーのアタッカーたちにスペースを与えないディフェンスを敷いた。
出場機会を得られなかった香川【写真:山田一仁】
1stレグのように守備に追われる展開の中では、必然的にボールを奪ってからの攻撃では長い距離をスプリントすることが要求される。香川がノリッチ戦で見せたような、複数の選手と絡みながらスペースに飛び出す動きは活きづらい。
なおかつ、ノリッチ戦ではルーニーと香川のコンビネーションが非常に良い形で機能している。香川とルーニーとのセットで、得点がほしいときの攻撃のオプションとして持っておきたい。香川とルーニーのベンチスタートには、このようなファーガソン監督の狙いが見て取れた。
果たして前半は、ファーガソン監督のゲームプラン通りに遂行していく。カウンターが得意なレアル・マドリーにボールを「持たせる」ことで攻めあぐねさせ、カウンター時にはロングレンジのパスを得意とするギグスを起点に裏のスペースを突く。
先制ゴールは後半3分に生まれた。ファン・ペルシのシュートがこぼれたところを拾ったナニが中に折り返したボールを、ウェルベックが触ってコースを変えると、ゴール前のセルヒオ・ラモスに当たってオウンゴールになった。
ここまではマンチェスター・Uにとって理想的なものといえた。しかし、後半11分、試合の流れが一気に変わる出来事が起こる。マンチェスター・Uのナニが足を上げてタックルに行ったプレーが1発レッドと判定され、10人になってしまったのだ。