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選手権で躍進した京都橘高校。彼らはなぜ足がつらなかったのか?

text by 河治良幸 photo by Kenzaburo Matsuoka

チームに帯同する意味

――選手権は短期決戦ではありますが、今大会は準々決勝と準決勝の日程が空き、そのあたりで持って行き方に違いは出ましたか?

「そこまで来ると、気持ちの面が大切になるので、試合の前日より前に関しては自分で食べたいと思ったものを食べる方がいいんじゃないかと。そこまできちんとバランスの取れた食事をしてきていると、自然と体の中で足りていない栄養素のものを食べたいと思うんです。

だから、食べたいと思ったものが足りないものなんですよね。理想を言うならば、小学生、中学生から継続的にそういう食事を身に付けておけば、いつもと違う時でも自然と体が欲するものを感じ取ることが出来る様になると思いますが、高校時代の意識付けでも効果は出てきていると思います。

特に今回は宿泊したホテルにも考えていただいて、大会を通して理想的な食事をみんなですることで、試合前に必要な食事などの認識が、選手たちの頭にも入っていたと思いますよ」

――こうした大会には怪我も付きものですよね。

「どういった怪我でも、回復のためには基本的に体内でコラーゲンを作らなければいけなくて、その源はタンパク質ですが、コラーゲンとして摂取しても、体に吸収する時はアミノ酸に分解されるので、そのアミノ酸を体の中でまたコラーゲンに合成しなければいけない。そこでもビタミンCが必要になるので、オレンジジュースでこまめに摂取することが大事になるわけです」

――高校サッカーだと選手権が大きなピークになっていますが、リーグ戦がさらに当たり前になって、週に1回ピークが来るようになるとむしろ弊害は出てきてしまいますか?

「ただ、そうした中でも食事に対する意識さえ高くて、きっちり食事を採りながらリーグ戦をこなしていけばいいと思いますし、高校生になってくれば1週間のスパンの中で採り方を工夫することは、サッカーの場合は特にできるんじゃないかと思います。

また今回、再認識したんですが、オリックスで栄養士をしていた時も感じたのは、帯同するというのはとても効果的なんですよね。例えば栄養講習を1時間するだけではなかなか残らないですし、食事をする時にその効果や採り方などを説明すると一番身に付くと思うので。

ただ、現実的にはなかなか難しいですし、1人で100人近い選手をその場でチェックするのもなかなか難しいのですが、写真を残してメールで送ってもらうことで、それから栄養計算をして、これが足りないから採る様にとか。1人1人の意識も上がっていいかなとは思います」

【了】

プロフィール

坂元美子(さかもとよしこ)
私立神戸女子大学の管理栄養士養成課程を卒業。オリックス・ブルーウエーブ(現・オリックス・バファローズ)の球団専属管理栄養士としてパ・リーグ優勝、日本シリーズ優勝を経験。その後、履正社学園医療・スポーツ専門学校で講師を務め(現職)、平成21年より神戸女子大学健康福祉学部健康スポーツ栄養学科の准教授として教鞭をとりながら、並行して様々なスポーツチームの栄養指導を行っている。

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