毎食飲ませたオレンジジュース
――なるほど。それではビタミンCの方に関しては、なぜオレンジジュースなんですか?
「オレンジジュースはビタミンCとクエン酸が同時に摂れるんですよ。ビタミンCは疲労回復にいいのと、免疫力を上げてくれるので風邪をひきにくくしてくれます。ホテル暮らしや試合でストレスを感じた時に、ACTH(副腎皮質ホルモン)というものが分泌されるんですけど、それが作られる時にビタミンCが必要になるので、ストレスを感じる時は常にビタミンCを摂らないとコンディションを崩しやすいんです。
なのでオレンジジュースは毎食、必ずと言っていいほど飲んでもらって、試合前と試合後も各自で心がけて飲む様に伝えていました」
――ビタミンCはサプリメントも充実していて、それこそオレンジジュースの数十倍というビタミンCが採れるものもあります。それらの方が効果的に採れるということはないのですか?
「そう考えられがちですが、ビタミンCは一度にたくさん採っても水溶性で、一定量以上は体外に排泄されてしまうので、食事と一緒にこまめにオレンジジュースで採っていく方が効率的なのです。とにかく常に体の中にあることが大切なので。
そしてオレンジジュースにはもう1つ、大切な栄養素が含まれています。それはクエン酸なのですが、実はクエン酸が疲労回復を助ける要因は解明されていないのですが、現時点で1つはっきりしているのは、糖質をエネルギーとして使う酵素の働きを防ぐということ。それにより運動した時に脂質を使う様にして、糖質を温存してくれるんですよね。糖質がエネルギーとして使われると体に乳酸ができやすくなるのですが、クエン酸がそれを抑えてくれるわけです」
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