大宮が残留争いに巻き込まれる理由
――さて、上位半分が終わりました。10位は?
「川崎。去年風間監督になって、順位が上がった時期もありましたが、勝てないときもあった。今年は大久保やパトリックが当たるかどうかが大きい。川崎のボールを持つというスタイルはいいと思いますけど、去年は逆にそれが相手にとって怖くないと分析されていました。そこで点を獲れる選手が風間監督も必要だったはずです。パトリックが当たれば上位も狙える選手層ではあると思います」
――当たらなければ苦しい?
「いや、去年のような中位をキープする力はありますよ。11位は大宮」
三浦俊也氏【写真:編集部】
――いつも残留争いを大宮はしてしまうのですが。
「大宮はある程度守備が安定しているけども、攻撃的にやろうとするといつも頓挫している。去年も前半調子が良くなかったのは攻撃に比重を置きすぎていたような気がします。そこでベルデニックが来てバランスをとるようになり、安定しましたよね。あとノヴァコヴィッチが当たりましたよ。不安なのは守備は河本が来て安定していたのですが、彼がいなくなってしまったことですね」
――大宮はシーズン中盤で崩れても後半にものすごい勢いで持ち直して残留します。この要因はどこにあるのでしょうか?
「今のJリーグは上位争いよりも残留争いの方が激しいです。繰り返しになりますが、ACLのインセンティブが低いが故に、1つでも上の順位に、というよりは降格したくないという気持ちの方が強くなってしまう。降格に関しては相当必死ですから。そういうところの危機感がより強く出ているんでしょうね。あと大宮は自分たちの強みである守備を意識したスタイル、いわゆる原点に戻れるのが大きいですね。残留争いも何度も経験していますし」
――三浦さんが監督をしていた時期にはなかったかもしれませんが、他クラブの選手が言うには、大宮は終盤の残留争いになると勝利給が倍額になって、それが発奮材料になっている、と。
「うーん、自分の経験からするとあまり関係ないけどね。目先の金銭よりも、残留したいという気持ちが強くなるので。勝利給を増やすことはどこのクラブもやっていることなので、あまり影響はないと思いますけども」
――なるほど。大宮は資金的に恵まれているためか、あまり試合に出ていない選手もすぐにクビになることもないので、精神的な余裕がいい作用を生んでいるのかもしれないですね。では次の12位は?
「鳥栖かな。鳥栖は間違い無く去年一番サプライズを起こしたチーム。豊田、藤田が残留したので、去年のスタイルを維持できる。彼らはいかにサッカーは足先の技術だけじゃないというのを証明してくれました。セカンドボールを拾う執念は本当に素晴らしかった。ただ、鳥栖は資金的には苦しいクラブなので、長くJ1に残留していくにはかなり頑張らないといけませんけども」