補強面と総合力それぞれの診断結果
大きなポイントは前線の2枚が入れ替わったこと。昨季18ゴールと岡山の攻撃を牽引した川又は新潟へレンタルバック。トップ下の金民均も海外へ移籍。その二人に入れ替わるように、千葉から荒田、磐田から押谷が加入した。
荒田は昨季千葉のタレント揃いの前線で出場機会に恵まれなかったが、終盤にかけて掴んだチャンスでは、持ち味の泥臭さでゴールをこじ開け、変わらぬ存在感を放っていた。元々ルーキーイヤーの水戸時代に17得点を挙げるなど実力は折り紙付き。川又に代わり、今季は荒田がいかに得点数を伸ばせるかが岡山の浮沈のカギを握る。
磐田から加入した押谷は、かつて岐阜へのレンタルで実力をつけた選手。10年、11年はいずれも9ゴールとコンスタントに結果も残した。昨季は磐田で出場機会に恵まれなかったが、戦い方を知り尽くしたJ2で再度陽の目を見る可能性は十分にある。
その他、町田から鈴木崇、ボランチには早稲田から即戦力の島田が加入するなど、各ポジションの層も増している。今季は影山体制も4年目とあり、チームにはしっかりとしたベースがあるだけに虎視眈々と上位を覗うシーズンになりそうだ。
昇格を争うライバルたちとの差は攻撃力。昨季は川又が18ゴールを挙げながらも総得点は「41」に留まった。リーグ2位となる「34」という失点数の少なさを誇るだけに、いかに得点力を上積みできるかが昇格のカギを握る。
荒田や押谷らアタッカー陣は強力ではあるが、前線の個の力に頼るようであれば昨季と同程度の結果に終わることもありうる。ポイントは、昨季から徐々に浸透しつつあるパス回しの精度をいかに高められるか。いかに自分たちがボールを保持する時間を長くし、その中で抜け目ない新アタッカー陣がゴールをねじ込むような形が出来上がれば、自ずと得点力の上積みは可能。そうなればJ2上位に肉薄するシーズンとなるだろう。
また、岡山で忘れてはならないのはサポーターの存在。ホーム・カンコースタジアムは国立競技場のようにすり鉢状になっており、チャンス時にはホーム平均8千人の観衆が地鳴りのような迫力でゴールを煽り立てる。J2では独特のホームの力を持っているサポーターとスタジアムが相手にとっては大きな脅威となる。(※それぞれA~Eランクで診断)
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