前半はミランの右サイドを自由にさせてしまった
前半の乱調をアシストで相殺――。
試合の翌日、さまざまな地元紙でそんな言葉が踊っていた。確かにその通りの内容だった。前半は失点にも絡み、左サイドに移された後半には左膝を痛める。しかしそんな状況でも、一瞬のチャンスを活かしてクロスを通してみせた。ミラノダービーという大舞台で、自らのプレイで試合中に汚名返上を果たした長友佑都のタフネスは、やはり凄いものがあると感じた。
長友は前半戦のダービー同様、左ではなく右で先発する。目的は一つ、ミランの新エースであるエル・シャラウィを走力で封殺することだ。実際に前回の対戦では、スピードと技術を活かして外から中へと仕掛けてくるこの選手を、長友は走力で封じることが出来ていた。だが今回は、まったく逆にやられてしまった。
長友を当ててくることを読み切っていたのか、ミランのアレグリ監督はそれを逆手に取ってインテルの右を攻略してきた。まずは左サイドバックのデ・シリオをかなり高い位置に張らせた。
彼を見るのはサイドハーフに入ったグアリンの役目になっていたが、相手が高い位置にいてはそこまでカバーしにくい。しかし長友は、中へと絞るエル・シャラウィにベタ付きになってしまい、結果としてサイドは穴があく。そこにデ・シリオは難なく侵入し、クロスを上げ続けた。
またエル・シャラウィのプレイ自体も変わっていた。前回のダービーでは遮二無二ドリブルを仕掛ける印象があったが、この日は外へは殆ど張らず、長友を釣り出してそのスペースを使うプレイを心がけていた。
こうしてポジショニングに破綻を来すと、やがてそこが失点につながる。21分、中盤のボールロストからスルーパスを出されると、長友はエル・シャラウィに付き遅れてしまう。まんまとパスを通され、20歳のイタリア代表に落ち着いてゴールを決められてしまった。