金崎夢生を封じた酒井高徳の絞るディフェンス
先日のラトビア戦ではディフェンスラインをケアし、絞ったポジションを意識していたところ、センターバックの吉田麻也に“相手は前線が1人で、2人のセンターバックで十分に見られるから、お前はもっと前にポジションを取っていけ”といった指示を受けたそうだ。
今回のニュルンベルクもフォーメーションはポルターの1トップだが、左サイドの金崎が頻繁にセンター寄りの高いポジションを取るため、酒井の絞りが求められる局面が続いた。そうした傾向になるのは金崎が右利きで、左サイドを担当した時は中に入って行く傾向があることに加え、ニュルンベルクの攻撃の多くが右サイドを起点にするため、全体のポジションが右に偏りやすいことも影響している。
酒井の役割が金崎をマークすることだけであればシンプルだが、試合は常に攻守が切り替わり、流れの中で相手の位置関係も変化するものだ。特に酒井には味方の攻撃に応じて敵陣まで駆け上がり、セカンドボールや味方の展開からクロスを上げる仕事が求められている。そこから攻守が切り替わると、味方が相手の速攻をディレイする間に素早く駆け戻り、金崎のマークを中心とした献身的な守備を遂行していた。
特筆すべき場面は15分。クリアボールを拾った右サイドバックのチャンドラーから、清武が中盤の深い位置に引いて受ける。その時、1トップのポルターは右ワイドに開いており、シュトゥットガルトのセンターバック2人もかなり同サイド寄りにスライドしていたが、直前の守備対応の流れで右センターバックのタスキがやや前に出ており、相棒のニルソンとの間にギャップが出来てしまっていた。
その隙を逃さず逆サイドから金崎が飛び出し、清武からタイミング良くロビングパスが出てきたが、酒井が迅速に背後をカバー。結局、金崎がワンバウンドのボールを左手で止めたためハンドの反則となったが、そのまま続いていても1対1で止めに行くことはできていたはずだ。