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金崎夢生、“殊勲のデビュー戦”に見る戦術効果を徹底分析

text by 河治良幸 photo by Ryota Harada

効果的だった連続的なランニング。日本代表の新たな武器となり得るか?

 金崎の持久力の高さは名古屋時代から定評があったが、短い時間とはいえ連続的なランニングとプレーがニュルンベルクの攻撃を活性化した。それは高いモチベーションや集中力にも裏打ちされるものだが、彼が継続的にランニングやプレーを続けることで、ニュルンベルクの攻撃に厚みができ、二次攻撃なども生まれやすくなった。

 88分には2つのチャンスに絡んだが、1つめの場面では右サイドでCBのニルションから縦パスを引き出し、バリッチュとのワンツーから左のピノラに展開した。そこからのミドルシュートはDFにブロックされたが、金崎はゴール前に走り込んでいた。そのすぐ後、今度は左に流れて清武のパスを受け、そこからバイタルエリアに走り込んで来た清武にリターンパスを出した。

 こうした継続的なプレーの合間には当然ながら守備のタスクもある。中盤のプレスがそれほど強くないニュルンベルクは高い位置で攻めても、そこから自陣に引いての守備を強いられることが多い。

 しかし、金崎は攻撃に転じると必要に応じてボールを捌きながら、すぐ高い位置まで移動して次のプレーに備える。こうした姿勢はドイツにおいても好まれるポイントだが、ランニングからボールに絡むプレーまで、高い質を伴ってできることを示す試合になったのではないか。

 今回はデビュー戦で相手がノーマークだったとはいえ、KANAZAKIの名前を知らしめる試合になると同時に、ニュルンベルクの攻撃に戦術的なプラス効果をもたらせることも示した。

 現在はブンデスリーガで多くの日本人選手が活躍するが、上記の様な特徴を高いレベルで兼ね備えたタイプはいない。この先もしっかり結果を出していけば、ドイツに新たなインパクトをもたらすことができる。

 また、日本代表のザッケローニ監督が“多くの才能ある選手がいる”と語るセカンドトップでも、違った特徴を出せる選手という意味で面白い存在になってくるだろう。

【了】

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