監督へ意見を主張することは紙一重
――コミュニケーションに不自由しなくなったのは?
「イングランドでの3シーズン目、フルハムの2シーズン目ぐらいからですね。メディアとのコミュニケーションとかも、そこまで苦労せずにできていたかな」
――監督とのコミュニケーションはどうでしょう?
「フルハムでは色々な話をしました。ティガナとも、その次のコールマンとも。コールマンは年齢が近くて元選手なので、すごく入りやすかった」
――試合に使われないときに、監督に理由を聞きに行くこともありましたか?
「何回かは。でも、『自分に何が足りないのか?』と聞いて『戦術的な理由だ』と言われると、どうしようもないですよね。それでメンバーに入れなかったこともありました。当時のプレミアリーグはベンチ入りが5人だから、試合に絡めるのは16人まで。自分が17人目だった時期もあったけど、そこで腐ることは絶対にしなかった」
――外国人選手は積極的に聞きに行く印象があります。
「行ってますね、たぶん。チームメートから、『なんで聞きにいかなんだ、行ったほうがいい』と言われることもあったし。それこそ試合中やロッカールームに監督と選手が言い合いをするのも普通のことですし」
――意見をぶつけ合うのは珍しくないですよね。
「でも、難しいと言えば難しい。厳しい監督だと、主張したことで干されることもある。紙一重ではあるんですよ。ウェストブロムのときは、監督のブライアン・ロブソンと話をしたらレギュラーで使ってもらったりもしたし。いずれにしても、選手と監督の距離感は、日本とは違う気がします」
――監督のもとへ行く、行かないにかかわらず、さきほどお話していた「腐らない」のが大事ですね。
「お前にはこれが足りなから先発じゃないと言われたら、それを改善すればいい。戦術的なことが理由で使えないと言われても、自分の良さを消しちゃいけない。結局は全力で取り組むしかない、ということになる。チームの一員として足りないものを補いつつ、自分の良さを出していくしかないので。監督に聞く、聞かないはともかくとして、すごく考えながらやっていましたね」