アーセナルが勝利を引き寄せるために求められること
では、アーセナルはどう戦うべきだろうか。力のある相手には守りを固め、少ないチャンスに勝機を見出すのが鉄則ではあるが、このチームの場合、本来のスタイルを貫くべきではないだろうか。
参考になるのは、10-11シーズンのチャンピオンズリーグでのバルセロナ戦。このシーズン、ヨーロッパを制したバルセロナを最も苦しめたのがアーセナルだ(1stレグは2-1で勝利。2ndレグは1-3で敗れる)。彼らはバルセロナにボールを回されるも攻撃のマインドは失っていなかった。
ウィルシャーとセスク・ファブレガスがバルセロナのフォアプレスをかいくぐり、繰り出したロングカウンターは切れ味抜群だった。バルセロナとの対戦で注意しなければならないのが、このフォアプレス。長いボール保持時間が終わり、攻撃に転じようとした矢先にプレスをくらい、ボールロスト。そこからショートカウンターを食らってしまうのだ。
ただし、最初のプレスさえかわせれば、バルセロナのディフェンスラインは高いので、チャンスをつくることはできる。バイエルンも、バルセロナとまったく同じではないが、押し込んでくるだろう。エースFWでさえも守備をサボらない彼らの献身性を逆手にとることができるかどうか。
駒はいる。ケガから復帰したウィルシャーは調子を上げてきた。セスクはいないが、カソルラとアルテタの同時起用であれば同様の効果は得られるだろう。1人でかわせなくとも、彼ら2人でのコンビネーションであれば十分に可能だ。そこからウォルコット(あるいはチェンバレン)、ポドルスキーが快足を飛ばせば、チャンスは生まれる。
そもそもアーセナルは守備的に戦って堪えられるチームではない。最終ラインの不安定さは相変わらず。だからこそ、ヴェンゲルが培ってきたアタッキングフットボールに賭けるべきだ。唯一にして最良の選択である“アーセナル・スタイル”にこそ勝利への道筋はある。
【了】