隙のないバイエルン。不安材料は?
もう1つの試合は、アーセナルにとって苦しい戦いとなりそうだ。対戦するバイエルン・ミュンヘンは今季2位のドルトムントに勝ち点15の差をつけ独走。失点も22試合でわずかに7と圧倒的な強さを誇っている。優勝は間違いなしと言われているほどだ。
それに比べアーセナルはリーグ戦ではトッテナムの後塵を拝し、5位に甘んじている。賭け率でも、bwinではアーセナルの勝ちが3.60、引き分けが3.60、バイエルンの勝ちが1.95(午前3時現在)。ウィリアムヒルでは3.50、3.30、2.10とホームであるにもかかわらず突き放されている。
バイエルンは今季加入したハビ・マルティネスが完全にフィット。ケガで出遅れたルイス・グスタボからボランチのレギュラーを奪うと、リベリー、ミュラー、クロースらに良質のパスを次々と供給している。ポゼッション率が高くなり、崩しのバリエーションも増えたことで、攻撃での迫力は昨年よりも間違いなくある。
ビルバオから移籍してきたハビ・マルティネスは、今季だけでなく来季以降もクラブの未来を担う重要なキーマンになる可能性を秘めている。というのも、来季から指揮をとるグアルディオラがバイエルンで監督となることを決めた要因が、彼にあるというのだ。
監督は現役時代の自分と似た選手を求める、ということだが、その辺りのペップ電撃就任の理由については『欧州サッカー批評07』で幸谷秀巳氏が考察しているので、興味のある人は参考にしてみて欲しい。
話を今季のバイエルンに戻そう。ディフェンスラインに目を移せば、アラバの成長が光る。突破力のある左サイドバックとして独り立ちしたことで、ラームを右に固定でき、安定感は増した。
唯一の懸念材料はケガで離脱中のバドシュトゥバーに代わって出場機会を増やしているファン・ブイテンだ。体は強いが、スピードがないためかカバーリングで遅れる場面がやや見られる。これまでは圧倒的にボールを保持する試合が多かったためアラは出にくかったが、この試合、そして次のラウンド以降では弱点として突かれることもあるかもしれない。
とはいえ、不安なのはこの点くらい。盤石の体制で望むバイエルンの目標はもちろん優勝。アーセナル戦で負けるなどとは微塵も考えていないだろう。