【前編はこちらから】 | 【サッカー批評issue60】掲載
関係性の高いところに相手の動きを伝える
――相手のフォーメーションの変化は早く気がつくほうですか。
高橋 うちはあまりスカウティングしないんです。個々でビデオを見るぐらいで。対戦したときにシステムの噛み合わせ、どちらのサイドでボールがよく動くかは、見るようにしています。
――わかったら全体に伝える。
高橋 いえ、全員は無理なので、関係性の高いところに伝えます。相手のプレスの動きが右が強いなら、うちの左サイドバックにはパスを強めに出そうとか。例えば、サンフレッチェ広島は2ボランチがうまく守るので、縦のパスは入れにくい。別ルートから行こうとか、そういう話ですね。
――第20節の浦和レッズ戦は、後半からマンツーマンに切り替えて同点にしました。
高橋 あれは完全に監督の指示です。うちは基本的に相手には合わせないので、監督は認めたくないでしょうけど、相手の3-6-1にうちの4-5-1がハマらず、相手にサイドから攻められていました。0-2でハーフタイムだったので、流れを変えなければいけなかった。そこで練習でもやったことのない3-4-3を作った結果、それが見事にハマった。
相手の1トップ+2シャドーに対して3バックなので、常に1人余るという状況にはなりにくく、1対1に勝つ、対峙している相手に勝つことが重要になりました。対人意識が高くなったのがよかったのか、それとも0-2ゆえの反発力なのかはわかりませんが、後半はほとんど自陣にボールが来ることもなく、2点とって同点にした。うちもああいうミラーゲームができると示した試合でしたね。
――フォーメーションが変わる前、前半はどう考えていましたか?
高橋 まあ、どうしようもなかったですね。相手はリトリートして、ブロックを作って守るので、センターバックからサイドバックへのパスを速くして、ウイングバックやシャドーを引き出せればチャンスになると思っていたのですが、なかなか速いパス回しができなくて、3-6-1のブロックを作られてしまっていました。
あの試合は、僕がセンターバックで、復帰明けのヨネ(米本拓司)、右サイドバックが本来センターバックの加賀(健一)ちゃん。それもあってスムーズにいかなかった。スムーズにできていれば、監督が手を打たずにすんだかもしれませんが、自分たちの能力、連携が足りませんでした。