補強面と総合力それぞれの診断結果
大量21人の退団となったがほぼ控え組で、多くの主力が残留したことが最大の補強だろう。名古屋から吉田、札幌から岩沼といった即戦力も補強できており、ベースアップにも成功したといえる。吉田は巧みな左足を持つサイドアタッカー。岩沼はユーティリティで賢い選手だ。
大量10人の新卒組の獲得には“育てて勝つ”を標榜する指揮官らしさに溢れる。栃木時代に控えとしてくすぶっていたストライカーの船山は反町監督の下で「走り切る」と豪語。意識の変化とともに昨季はチームトップとなる12ゴールを記録した。船山同様、10人の新卒組も含めた若手の中から、殻を破る選手が出現する可能性は十分にある。岩渕(FC東京U18→明治大)などはポテンシャルを秘めたFWだけにベンチ入りに絡むようであれば大化けもある。
また2月9日には、ブラジル人FWのホドリゴ・カベッサとMFパク・カンイルの獲得も発表された。2人ともまだ年齢的にかなり若い選手で、カベッサはフォワード、パクは右サイドやボランチでのプレーが濃厚だ。カベッサがフィットしてくると、塩沢に頼りがちだった前線の選択肢が増えるだけに、楽しみな補強となった。
反町体制2年目はチームがベースアップに成功したこともあり、昨季以上のパフォーマンスと成績が期待できる。持ち駒をうまく活かし、選手を巧みに成長させる手腕が評価され、かつ「J2のアウトロー」を自称する指揮官からすれば、伸びしろ十分の若手たちを前にしてやる気に満ちていることだろう。塩沢、鐡戸といったベテラン組もポジションを脅かされる今季はチーム内競争も激化。レギュラーを確保された選手は一人もいない。
補強そのものには「何が何でも昇格」という意気込みは見えないが、策士の指揮官にしてそれはない。アルウィンの大観衆の期待を裏切らないチームをつくり上げることは間違いないだろう。(※それぞれA~Eランクで診断)
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