不利な状態でボールを受けてしまった香川
チャンピオンズリーグの決勝ラウンド1回戦の1stレグ、レアル・マドリーvsマンチェスター・ユナイテッド戦。世界中から注目が集まった大一番にスタメン出場した香川真司だったが、見せ場を作ることはできなかった。
確かに、香川の出来は良いとは言えなかった。立ち上がりこそ、DFラインの背後のスペースに飛び出す動きを見せたが、それ以降は効果的なプレーは少なく、リーグ戦で見せていたパス回しの潤滑油となる役割を果たすこともできなかった。
翌日の現地新聞での香川への評価は軒並み低かったという。ギグスと交代する香川の写真の横に「無力だった」というコメントをつけたところもあったそうだ。香川のレアル・マドリー戦のパフォーマンスについて検証してみたい。
この試合、何度もあったがDFラインから中央で縦パスを受けようとした香川が、背後から強烈なプレッシャーを食らってボールを失う場面だ。小柄な香川がレアル・マドリーの大型選手たちにまともに当たられれば勝ち目は薄い。
ここで一つの疑問が残る。なぜ香川はこのようなボールの受け方をしてしまったのか?
本来、香川は相手と相手の間でのレシーブを得意とする選手であり、真後ろにマーカーを背負った状態でパスを受けることは少ない。パスを受けたとしても、ワンタッチで近くの味方にはたくことがほとんどで、レアル戦のようにキープしようとすることはまずない。香川自身もそれが有効ではないことをわかっているからだ。
だが、レアル戦では香川がキープしようと思わなければならない状況があった。マンチェスター・Uがアウエーということもあって守備的な戦い方で臨んだため、攻撃時の押し上げが非常に少なかったからだ。