ルーニーよりは断然高い知的水準
「ジョーイ・バートンに騙されてはいけない」
2011年12月、イングランドでタブロイド紙を眺めていると、こんな見出しが目に入った。記事が取り上げていたのは彼のツイートだった。ニーチェ、セネカ、アリストレス、ジョージ・オーウェル等々、引用されるフレーズの出典がおそろしくハイブロウ(高尚)だということで、バートンはツイッター界で時の人になっていたからだ。
これが他の人間だったならば、かくも注目を集めることはなかったかもしれない。だが呟いているのは、“あの”バートンである。
バートンはツイッターが普及するはるか以前から、イングランドサッカー界の問題児として知られてきた。彼はマンチェスター・シティで02-03シーズンにプレミアにデビュー。以後、ニューカッスルを経てQPRへと渡り歩いてきたが、どのクラブでもことごとくトラブルメーカーとなってきた。
対戦チームの選手に危険なファウルをしたり、喧嘩をふっかけたりするケースは数知れず。敵を相手にするだけでは飽きたらず、練習中にチームメートを殴って鼻を骨折させたことや、試合中に味方と大喧嘩したこともある。
矛先は一般のファンにも向けられてきた。マンチェスター・シティ時代、アジアツアーでタイを訪れた時にはエバートンファンの少年に暴行を働いて強制送還されたし、そのエバートンとプレミアの試合で対戦した時には、観客席に尻を出して罰金を課された。
テレビカメラが回っていると見るやいなや、わざと股間を鷲掴みにしてみせるのも悪い癖だ。
バートンの乱行録は私生活でも続く。車を運転中に事故を起こして歩行者を骨折させ、泥酔した際に揉めた相手を袋叩きにして、74日間刑務所に収監される。いい加減きりがないのでやめるが、今日までサッカー選手を続けられてきた事自体が不思議だ。
しかもバートンは一向に“懲りない”。