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2013補強診断 12年前

2013シーズンのJリーグを占う。各クラブの戦力補強診断 ~湘南ベルマーレ編~

text by 編集部 photo by Kenzaburo Matsuoka

2012年のJ2で強い印象を与えた湘南ベルマーレ

 昨シーズン、J1の舞台で鮮烈な印象を残したのがサガン鳥栖とすれば、J2でその役割を担ったのは間違いなく湘南ベルマーレだろう。長く監督を務めた反町康治監督が退任し、コーチの曺貴裁(ちょう・きじぇ)監督が昇格。曺監督は2000年から川崎のコーチとしてスタートをきった経験ある指導者だが、トップチームの監督は初めての経験となる。またチームも、財政難もありそれほど大きな補強をすることができず、開幕前は厳しい戦いが予想されていた。

 しかしシーズンが始まると湘南は大きくその予想を覆す。開幕から一つの引き分けを挟み4連勝を二回達成し、9試合で8勝1分けと首位を快走した。その後、今度は7試合勝ちなしと若さを見せた面もあったが、シーズンを通してアグレッシブなスタイルを突き通し、最終節の勝利で2位となり自動昇格を手中に収めたのだ。

 曺監督は自分に与えられている戦力を的確に把握した上で、その特長が最大の力を発揮できるようなサッカースタイルを組み立てた。ハイスピードで全員が連動した動きを続けながら、積極的に相手ボールを奪い、プレーを切らずに連続して攻守を切り替えていく。口で言うのは簡単だが、90分間、質を保ちながら運動量を落とさずに戦うためのコンディション管理や、適切な選手のローテーションを行えたからこそ、昇格という結果を得られたと言えるだろう。

 そのスタイルが故に、チームの中で極めて目立つ存在は見当たらない。得点数を見ても、馬場賢治の9得点を筆頭に5得点以上挙げた選手が8人もいる。二桁得点に達した選手が不在でありながら、湘南はリーグトップの66得点を挙げた。この結果からも、いかに湘南がチームとして戦っていたかが理解できる。


19歳の若さでキャプテンとしてチームを統率した遠藤航【写真:松岡健三郎】

 しかし、当然キーとなる選手はいる。2年目、19歳の若さで3バックの中央に君臨しディフェンスラインを統率した遠藤航、その隣で安定したパフォーマンスを続けた大野和成、ボランチで攻守に奮闘したハングギョン、永木亮太、そして左サイドで圧倒的なスピードを見せた高山薫らの選手は、チームにとって欠かせないピースと言える。

 そして後半戦は負傷によりチームを離脱してしまったが、序盤戦の快進撃を支えたのが、中盤から1トップにコンバートされ、チームトップの得点数を叩きだした馬場の存在感は非常に大きかった。また、フル出場する機会は激減したが、スタメンでも途中出場でも、攻撃にアクセントを付けられるベテラン・古橋達弥も、シーズン通してコンスタントに力を発揮していた。

 今シーズンを占う上で、彼らの存在を外して考えることはできない。ブレない志向を持った曺監督のスタイルは湘南にしっかりと根付いているし、それを体現できる選手がチームに残ったのは非常に重要な意味を持つと言えるだろう。

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