クラブライセンス制度と外国人オーナーの矛盾点
そして、ある矛盾点も浮かび上がる。クラブライセンス制度だ。
クラブライセンス制度はAFC(アジアサッカー連盟)の通達で始められたものだが、JリーグとしてはAFCの規定よりも厳しい基準を設け、積極的に取り組んでいこうとしている。これには隠された事情がある。
以前、同制度についてJリーグに取材したとき、事務局の担当者は「ライセンス制度は中東の金満オーナーを牽制する狙いもある」と話していた。同制度は欧州のファイナンシャル・フェアプレー制度と同じく、オーナーのポケットマネーでの選手獲得や赤字の返済を認めていない。
Jリーグとしてはこれに乗っかる形で、AFC全体に健全なリーグであることをアピールし、影響力を強めたい意向だ。日本の発言力が強くなれば、金にモノを言わせて選手をかき集める金満オーナーを規制することもできる。
その先にはACLがある。近年、JクラブはACLで苦戦が続いている。不透明な資金力で力をつけるクラブ(中東に限った話ではない)に対抗すべく、ピッチ外からサポートするというのだ。
だとすると、外国人オーナーを容認することは、今向かおうとしている未来とは逆になってしまうのではないだろうか。仮に外国資本が来たとしても、ライセンス制度がある限り、湯水の如く資金を注入することはできない。たとえば、チェルシーのアブラモビッチのように“複雑な会計操作”をすれば可能だが、それはJリーグの理念に反するものだ。
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