外国資本が入る難しさ
東スポWebに「Jリーグの未来予想図」なる面白い連載が掲載されている。記事曰く、Jリーグの幹部が、リーグ活性化のために「外国人にクラブを持つ」ことを案として持っているという。
さらにJリーグ事務局の中西大介競技・事業統括本部長も、リーグ内ではそうした議論が出ているし、今後クラブ側から外国人オーナーを容認する意見が出れば検討する、と話しているという。
莫大な資金力を持つ外国資本が入れば、国内でも屈指のビッグクラブが誕生するかもしれない。少し前に「J入り」を噂されたデルピエロやラウールなど有名選手を獲得すれば、観客動員も増え、ACLで優勝する可能性も高まるだろう。国内移籍でも移籍金やリーグ全体の観客動員の増加により、間違いなくJリーグは活性化される。
だが、事はそう簡単には進まない。欧州を見ても、利益を鑑みず、継続的に資金を注入している外国人オーナーは多くない。マラガはたった1年でオーナーがやる気をなくし、給料未払いなどの問題が起こった。また、リバプールもヒックス&ジレットの仲たがいがクラブ内に悪影響を及ぼし、低迷の要因を作ってしまった。
パリ・サンジェルマンに関しても、今は上手くいっているが、買収された経緯は複雑だ。単純にクラブへカタール側からアプローチがあったわけではなく、前フランス大統領のニコラ・サルコジが深く関与している。
サルコジは大統領時代、国内の景気回復のため、カタール経済との結びつきを強めようとした。フランス国内への投資をしてもらうためだが、その見返りとしてパリ・サンジェルマンを紹介したのだ。さらに、先日フランス・フットボールが22年W杯開催地の投票の際、プラティニがサルコジからカタールへの投票を指示されたことをすっぱ抜いており、政治家も絡んだ大きな“買収工作”であったことがうかがえる。
優良な外国資本には手間がかかり、上手い話には毒がある。仮にJリーグが外国人オーナーを容認したとして、すぐに良い方向に向かうわけではない。