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日本代表 12年前

ブラジルまでの次なる航路 ~日本代表選手の証言から紐解く指標~

text by 元川悦子 photo by Kazuhito Yamada

ブラジル戦で痛感した「個の力の差」

 実際のブラジル戦ではその意識が強く感じられたように思う。開始早々からパス回しを軸に相手を押し込み、フランス戦を右ふくらはぎ痛で欠場した本田圭佑が前線に入ったことでタメができ、決定機も生まれた。出だしは悪くなかったものの、鋭いカウンターから次々とシュートを浴び、パウリーニョの先制弾をきっかけに、0-4の大敗を喫した。

「内容的にはフランス戦よりよかったけど、ブラジルのカウンターのスピード、ペナルティエリア内での冷静さ、スキルの高さは本当に世界トップレベルだった」と長友は相手の個人の能力の高さを再認識したという。彼同様、多くの選手から聞こえてきた言葉も「個の力の差」だった。

「当たり前にできていたパスのつなぎにしても、予想以上の寄せの速さ、足のリーチの長さでボールを失うことが多かった。もっと精度を高める必要があるし、ダイレクトを使って、相手の読めないところにパスを出さないといけないと感じた。ロングボールを蹴り出すだけではどうしても相手ボールになってしまう。上で勝負はムリだから下でつなぐことを徹底しないといけない」と今野泰幸はコメントしていたが、アジアでできていたビルドアップが通じないことへの驚きは大きかったという。

 吉田麻也はフィードをパウリーニョに拾われて、カカに得点された場面などを通して、「スペースを与えるとやられるし、食いつきすぎるとかわされる。裏に飛び出すスピードもあるし、出てくるボールの質も高くて本当に大変だった」と高い位置で奪われたときの自陣での1対1の難しさを話していた。サッカーは必ずどこかで1対1の状況が起きる、ゴールを死守できる対応力は今後の課題と言える。

 そして、「フィニッシュの差」も突きつけられた。

「一番の違いはペナルティエリアでの最終的な部分。僕らがプレッシャーに行ってもブラジルには慌てる選手が誰1人としていなかった。つねに冷静に状況判断ができるし、確実に決めてくる。これが本当のトップなんだと思いましたね」とDFの長友が話す一方で、トップ下の香川も「高い位置まで押し上げて自分たちのサッカーをしたいと思うなら、最後のところで僕らがシュートを決めきっていかないと。ブラジルはいい時間帯に確実に決めてくるのに、こっちはいいところまで攻め込んで行き詰った感じがあった。最後の精度を上げないといけない」と自戒を込めて語っていた。

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