自分たちの実力を測る絶好の機会
2010年10月のチーム発足以来、強豪国とアウェーで対戦する機会が皆無だった日本代表。10月12日のフランス(サンドニ)、16日のブラジル(ブロツワフ)2連戦は彼らの実力を測る絶好の機会だった。
南アフリカW杯を経験し、イタリアへと移籍した長友佑都も「相手のレベルやスピードがどうなのかは実際にやらないと絶対に分からない。前回の代表でも、オランダと親善試合をして初めて分かった部分が多かった。スナイデルなんかは正直8割だったけど、それでもすごかったからね」と話しているように、世界トップとの実戦経験はチームとしても、個人としても非常に重要な指標となる。
迎えたフランス戦、11年前に同じサンドニで戦った日本代表は滑りやすいピッチに足を取られてまともにプレーできなかったが、今の選手たちはしっかりとボールをコントロールし、互角以上に渡り合える時間帯もあった。最終的に粘って勝ち切った点は日本サッカー界の成長を感じさせてくれたが、実際に戦った彼らの言葉には悔しさが滲んでいた。
「今日は10回やって1回か2回しか勝てないような内容。日本の方がフランスより最後まで走れただけで、相手の方がフィジカルも技術も高かった。この勝利で世界との距離が縮まった気はしない」と長谷部誠が言えば、「もっとボールを回せると思っていたのに最初は面喰った。ベンゼマやメネズがなんであんなにうまいのかと驚いた。中盤で5対3を作られたし、相手を捕まえ切れなかった」と中村憲剛も反省する。
普段から世界トップの舞台を経験している香川でさえ、「全体にラインが引いてしまってボールの取りどころが見つからなかった。攻撃に行けず、アウェーの難しさを感じた」と、強豪との実力差を感じていた。
これを踏まえて、ブラジル戦は高いラインをキープしてコンパクトに戦う本来のサッカーがチーム全体で共有されていた。内田篤人が「この前みたいに守りばっかりになると失点しないかもしれないけど勝てない。前に出て行かないとチャンスはない」、長友も「今までやってきた形をどんどん出したい。思い切って行かないと得られるものは何もない。リスクを恐れずにやりたい」と口にしていた。