「3-4-3」はザッケローニ監督の代名詞
イタリアで長らく名声を高めてきたザッケローニ監督の代名詞は3-4-3だった。彼が95~98年に率いたウディネーゼ時代に用いた3-4-3は非常に先鋭的であり、その快進撃もともなってイタリアのみならず、日本にも大きなインパクトをもたらした。そして98-99シーズンにはミランで3-4-3を導入し、リーグ優勝を果たしたのだ。
奇しくも翌シーズン、この3-4-3を巡る、選手や幹部との確執が要因とされる流れで更迭の憂き目を見るが、その後はいくつかのフォーメーションを使い分ける柔軟性を見せ、先のミランにインテルとユベントスを加えた“イタリア3大名門”の指揮を経験した。
日本代表の就任会見では「このレベルになると、1つのシステムというのはあり得ない。どの監督も自分なりにアイデアはあるが、自然にいろんなシステムをやっていかないといけない」と語り、実際に「日本の選手が慣れ親しんだシステム」と自身が認める4-2-3-1で先ず好結果を出した。
どのフォーメーションを用いても、基本的なスタイルは変わらないことをザッケローニ監督は強調する。それは全体をコンパクトに維持して連動性のある攻撃と守備を繰り出して行くこと。
攻撃に関しては日本が得意とするポゼッションを基盤としながらも、縦を厳しく狙うクサビのパスとワイドな展開を使い分けて、スピーディに相手の守備を崩していくものだ。4-2-3-1でも3-4-3でも、その志向は同じということだが、それぞれの構造的な特徴による違いが存在し、それが使い分けの意味にもなってくる。
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