しかしそれも10分間のみだった。2-1のビハインドで迎えた後半10分、今度はキブが相手FWを倒して一発レッド。PKを決められ最終ラインが足りない状況になり、インテルはまたも修正を迫られる事になる。
ファン・ジェズスにセンターバックをさせ、長友は左サイドバックへ。彼が務めていた右サイドにはサネッティが中盤から降りてスライドした。ただ3失点で2点差、しかも数的不利。この時点で彼らに出来ることは少なかった。
長友は何度となく駆け上がりチャンスを作るものの、上がればシエナに人数を整えられ、クロスも精度を欠いた。特に32分には力んだ末に思いっきり打ち上げてしまい、ファンの落胆を誘っていた。
正念場を迎えたインテル。長友の課題は?
精度が求められる場面で期待に応えられず、チャンスが演出出来なかったところは、ビッグクラブの選手としては反省点ではある。地元紙はクロスの精度のなさを一斉に叩いていたが、今回ばかりはそれも仕方がない。
中に入って行こうとするだけでなく、アウトサイドから個人技で仕掛けるというチャレンジももう少し欲しかった。もっともチームも混乱し、最下位相手の3失点で心理的にダメージを受けたとあっては、長友と言えど空回りしてしまうのも仕方のないところだった。
右でも左でも遜色なく走れてはおり、どちらでも守備に破綻を来してはいなかった。故障前のトップフォームに戻るにはあと少しというところまで来ているので、次節以降に期待したい。
ただ、それ以上に心配なのはチームのムードだ。ケガ人が続出、新戦力への対応、しかし勝利は厳命という状況にあり、さすがに若いストラマッチョーニ監督は困惑している節も見られる。
スケロットが守備を出来ないのは、チェゼーナやアタランタ時代からも知られていたこと。今日彼のサイドが集中砲火にあったのは起用したほう、そして強化を決めたほうの責任でもある。
1994年生まれの選手の中では世界最高と称されるコバチッチも、チームにフィットさせるのには時間が要りそうだ。インテルにとっては、本当に正念場である。
【了】