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日本代表 12年前

ザッケローニの3-4-3は日本の武器になり得るのか?(第2回)

text by 河治良幸 photo by Kazuhito Yamada

ビエルサがチリ代表で見せた3-4-3

ビエルサのチリ代表 中盤フラット型3-3-1-3


ビエルサが率いたチリ代表は局面に人数をかけやすい3-3-1-3。意図したエリアでボールを奪い、数的優位を活かしてチャンスを作る。また守備時でもボールを奪われた選手からプレスをかけるなど、全員守備・全員攻撃を追求した。

 一時は日本代表監督の候補にあがったビエルサも、ザッケローニとは異なるアプローチで3-4-3の効率化を実現し、母国アルゼンチンを率いた04年のアテネ五輪で金メダル、10年W杯ではチリをベスト16に導いた。彼が目指したのは選手全員が連動した攻守一体のスタイル。ワイドにポジションを取る中盤フラット型より、局面に人数をかけやすい3-3-1-3を取った。

 その分、逆サイドやディフェンスラインの裏には大きなスペースが生じやすい。そのリスクを少しでも下げるため、意図したエリアでしっかりボールを奪い、そこから数的優位を活かして効率的にチャンスを作る。そして相手ボールになれば、奪われた選手からプレッシャーをかけて仲間の連動を促す。

 この連続によって試合の主導権を握り、チャンスの回数を増やすのだ。攻守一体の基本理論はザッケローニと共通するが、全員守備・全員攻撃をより追求しているのがビエルサだろう。

 3-4-3と言っても、それを用いる監督の戦術プランによって、システムに違いが出てくるが、共通するのは攻撃サッカーの志向であり、ある意味において現代サッカーへのアンチテーゼでもある。それを機能させることができれば、時に個人能力の差を埋め、駆け引きを有利にし、魅力的なサッカーを展開できるかもしれない。


チリ代表で3-3-1-3を導入したビエルサ【写真:山田一仁】

 だが、その実現のためには選手に徹底した共通理解と規律を植え付ける必要がある。また構成する選手の個性や思考により、そこに起きる現象に違いが出てくることを監督は認識しなければならない。

 次回以降ではザッケローニが日本代表でいかに3-4-3の導入を試みているのか、それが1つの完成を見た場合、どういった3-4-3のシステムになっていくのか。ザッケローニの志向する3-4-3に日本代表を照らし合わせ、その可能性を探ってみたい。

【第3回へ続く】

初出:サッカー批評issue52

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