マンチェスター・シティに在籍する問題児、マリオ・バロテッリのACミラン移籍が発表になったが、現在インテル・ミラノで活躍する元祖“問題児”アントニオ・カッサーノも、ACミランで自らのパフォーマンスを取り戻した。今回はカッサーノがミラン在籍時に行われたインタビューを掲載する。バロテッリもカッサーノと同じように、ミランで“再生”されるのだろうか?
セードルフっていうオッサンは マジで偉大だよ
――オバマとは?
「クラーレンス・セードルフ。見るからにあのオッサンはオバマだし、風貌だけでなく、これもまた冗談なんだが……、『俺こそが世界一』と思ってるところもまさに大統領だからな(笑)。なので俺がそのニックネームを付けたんだよ。
とにかく、ここでもまた冗談はさておき、あのセードルフっていうオッサンはマジで偉大だよ。35にしてあの肉体だぜ。で、選手としてはもちろん、何と言ってもあのオッサンが持ってるインテリジェンスは真剣にスゲーしな。唯一無二っていうのか? なので、俺は心底あのオバマを尊敬してるんだよ。
で、ルイウ、ここでもういっぺん断わっとくけど、このインタビューで難しい話、要するに戦術とか何とかの質問はなしだぜ。4-4-2とか4-3ナントカとかいう類いの話は一切なし。だって俺には何のことだかまったく分かんないし。なので、このままのペースで面白い話を続けような(笑)」
――OK、だったらオバマ絡みであの話を披露したら? カッサナータ炸裂を寸前で封じた偉大なるオバマ。例のコッパ・イタリアでの……。
「あー、あのパレルモ戦を終えた後の飛行機での話ね。OK。
あれはコッパ・イタリアの準決勝、セカンドレグ。俺たちミランは敵地パレルモで負けちまってね。大会から敗退。で、帰りの飛行機の中で、それでもまぁ俺的にはもう試合は終っちまったんだからいいかって思ってね、ていうか実際には何も考えずにいつも通り騒いでたわけよ。冗談言ったり何人かの選手たちをからかったりしてね。そしたら、いつのまにか俺の後ろにあのオッサンが立ってた。だけど、それを知らないのは俺だけ。
他のみんなは知ってるのに、アイツらわざと知らん顔してね、なもんで俺はあのオッサンがいるとは知らずに一人ガキみたいにワーワー騒いでたんだよ。んで、ある瞬間に何か妙な黒い影を背中に感じてね、振り向くとそこにはあのオバマが仁王立ちしてたという……。そして、オッサンは物凄く鋭い目つきで俺を睨むと一言、『アントニオ、俺たちは負けた。ならば今ここに笑える理由はないはずだぜ』と……。
で、そのオバマの迫力と威厳に俺は痺れたわけよ。これが他のクラブであれば誰が何と言おうと関係なく俺は騒ぎ続けて、でもって遂には豪快にカッサナータを炸裂させてたはずだが、あのオバマに言われるとね、さすがの俺も『はい』となる(笑)。
とにかく、あのパレルモ戦の前に俺たちは既にスクデット獲得を決めていたんだけど、かといって負けていいはずの試合なんてものはここミランには存在しない、ってことをオバマは教えてくれたんだよ。“過去20年間に世界で最も多くのタイトルを獲ったクラブ”その真の理由を理解できたように思ったものだよ」