気になる大物外国人の獲得はあるのか?
問題はロベルト セザーの期限付き移籍とエジミウソンの期限付き加入終了によって空いた席に座る人物がいないことだ。
渡邉千真への「9番禅譲」によって外国人ストライカーのつける背番号は「11番」となったが、いったい誰がやってくるのか。「FC東京 2013シーズン 新体制記者発表会」でも、攻撃的なポジションでもうひとり獲得する意向はあると立石敬之強化部長も明言していたから、動いていることはたしかだ。
獲得確実と報じられたダヴィは鹿島アントラーズに加入した。新聞にはアレッサンドロ・デル・ピエロ、ラウール・ゴンサレス、李忠成の名前が踊る。過去にケリーやカボレがやってきた時期を思いだすなら、2月にブラジル人の攻撃的な選手が来日して二次キャンプに顔を見せるという展開もありえなくはないが、遅くに決着するケースでは、夏の第二ウインドーまで待つこともあるかもしれない。
というのは、今季の体制が、新戦力の補強に頼ったものではないからだ。
ポポヴィッチ監督は昨年12月、シーズンオフに入る直前の囲み取材に応えて「いまいる選手に期待したい」と言った。昨シーズンを通じて成長、熟成をつづけてきたチームをさらに発展させることで強くするという狙いが、ポストを新設して前述の山崎CDを招いたことからも透けて見える。
このオフのあいだに日本代表の常連となっているふたり、高橋秀人は足首のクリーニング手術を行い、権田修一は自主トレで体をひとまわり大きくしてきた。もちろん彼らだけでなく、選手それぞれがポポヴィッチ体制二年めでの飛躍を期して準備をしてきている。リーグ優勝したいという言葉がただのお題目ではなく、実感を伴って選手の口から上がっている。
実践しているサッカーに自信があるからだろう。内容と結果が両立しないことには達成感は生じず自信にならないが、昨シーズンはリーグ戦が終わりかけた最後の最後で手応えを掴んだ。
すばやく正確な判断とそれを遂行できる技術戦術が伴わないと、主体的にボールを動かす、東京がクラブとしてイメージする攻撃サッカーはできない。連携も熟させないといけないし、ひとつの気風を漂わせてチーム全体を律していかないといけない。ハードワークに必要なコンディションを整えることも重要だ。
完成に時間がかかるサッカーを一年つづけてようやくある程度の像が見えてきた。