経験豊富な3人が移籍。穴は埋まったのか?
ゴールキーパー常澤聡のモンテディオ山形への完全移籍も、キーパーが三人いれば乗りきれるという計算が立っているのであれば、数的損失と考えなくともよいだろう。昨シーズンは故障などで四人いたキーパーがふたりになってしまった時期があるので油断はできないが、山崎享コンディショニングダイレクターを招聘して必ず故障者を減らすという覚悟があるのだろうから。
梶山陽平(パナシナイコス)、羽生直剛(ヴァンフォーレ甲府)、椋原健太(セレッソ大阪)、三人の新たな「OUT」による損失についてはどうだろうか。
新加入が野澤英之(MF、34番)、三田啓貴(MF、36番)、東慶悟(MF、38番)の三人だから、帳尻合わせはできている。もちろん梶山、羽生、椋原の経験は貴重で、それと同じものが新加入の三人から得られるとは言いがたい。
しかし東には五輪代表での実績を背景にすぐにでもA代表をうかがおうという明確な上昇志向があり、下部組織を経てきている三田と野澤にはフレッシュさとクラブ愛がある。加えて言うなら、新人ながら大卒で22歳の三田には、年齢的にも悠長に構えてはいられない、早くスターティングメンバーに名を連ねて試合に出たいという切迫した気持ちがある。つまり、モチベーションの高さに裏付けがある。
それに三田と野澤にはFC東京U-18時代にトップチーム帯同歴があり、三田は明治大学在学中の昨年に特別指定制度で参加しているから、まったくの新顔ではない。シャイでまだ馴染みきっていない東にしても、五輪代表でのチームメイトだった徳永悠平と権田修一、大分トリニータ時代の師と同僚であるランコ ポポヴィッチ監督と森重真人がいるから、東京に縁もゆかりもないわけではない。
だから新戦力のフィットに伴う不安も少ない。かなり絞り込んだ補強だと言えるだろう。期限付き移籍した三人の穴は埋まっていると考えていい。