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Jリーグ 12年前

成功する助っ人、失敗する助っ人 ~外国籍選手の成否を分けるものは何か?~(後編)

Jリーグに限らず、“助っ人”の活躍次第でチームの成績が左右されるケースが多い。そんな外国籍選手の補強で大切なことは何になるのだろう? また成功と失敗の背景にあるものとは? 2011シーズンの途中、アルビレックス新潟強化部長の神田勝夫氏、代理人である西真田佳典氏、稲川朝弘氏に話を聞いた。

text by 海江田哲朗 photo by Kenzaburo Matsuoka

【前編はこちらから】 | 【サッカー批評issue53】掲載

Jリーグの金銭的な魅力は、中国、韓国より下

 ブラジル人選手の場合、年俸2000万なら倍の4000万がJクラブから出すオファーの目安だという。それぐらいの額を提示しなければ、キャリアアップにつながらないうえ、慣れない環境でプレーする価値を彼らは見出さない。昨今、ブラジル経済は好況にあり、1部リーグでバリバリやっている選手を獲得するのは難しくなっていると聞く。


草津、G大阪でプレーし、現在は蔚山現代に所属するラフィーニャ【写真:松岡健三郎】

 Jリーグのオーガナイゼーションはアジアで最も優れていると評価される一方、金銭的な魅力は中国、韓国の下にランクされているのが現状だ。

「今年7月、ブラジルのフルミネンセから中国1部リーグの広州恒大に移籍したアルゼンチン人のダリオ・コンカは2年で30億円の契約を結んだと言われています。つまり月収1億円を優に超すんです。他方、日本が獲得できるのは、違約金のかからないフリーの選手がほとんど。中国や韓国には2、3億程度ならすぐに用意できるクラブがいくつもあります」

 日本も手をこまねいているばかりではなく、投資型の外国人補強を積極的に行うべき、というのが稲川の主張だ。

 成功例のひとつが、07年、ブラジルのヴィトーリアからコンサドーレ札幌に加入したダヴィである。育成に定評のあるヴィトーリアと業務提携を結び、札幌でプレーした選手が他のクラブに移籍した際は15%のコミッションを落とす契約を作った。札幌はA契約2名、C契約1名を使え、半年で入れ替えも可能とした。ヴィトーリアにとっては日本に出張店舗を持つようなもので、余剰戦力を遊ばせておくよりメリットがある。

 この仕組みを札幌の強化部長を務める三上大勝と稲川が手懸け、09年、ダヴィが名古屋グランパスに移籍した際は、獲得にかかった費用との差し引きで約250万ドルの利益が出た。

「安くてもいい選手はいる。あとはトライするかどうか。補強に使える資金の10%を投資分として活用し、利益を生むやり方もある」

 もともと稲川はJSPの設立メンバーのひとりで、西真田と一緒に仕事をしていた時期がある。大所帯のJSPと比べ、稲川のインターロープはほぼ個人商店の規模だ。加茂商事全体の経営に参画する立場の西真田と、エージェント一本槍の稲川。ふたりの仕事のやり方は違ってくると考えるのが自然だ。

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