羽生が甲府に加入した理由とは
日本人選手の中で、最後に加入が決まった羽生は、移籍の理由をこう語る。
「『東京にいたい』と言えば、いられたわけですけど、それでも出たのは、この年でも成長するために環境を変える必要があると思ったからです。今の自分がどれだけ通用するのか、自分自身で測りたい。もちろん、城福さんに誘われたのも大きいし、甲府は今、J1に定着していくための土台作りをしているところ。そこで活躍して、このクラブの歴史に名を刻めるなら、自分のキャリアの中でも意味のあることだと思って甲府に来ました」
まだまだ成長したい、もうひと花咲かせたいという想いが伝わってくるが、もちろん、そうした想いはベテランたちのものだけではない。
水野と青山はほかにも在籍できるクラブがありながら、年俸ダウンも承知のうえで甲府を選んだ選手たちだ。ふたりに共通するのは、北京五輪の予選を主力として戦いながら、最終メンバーから落選したという点だ。
ヨーロッパで活躍する同世代の本田圭佑や長友佑都、岡崎慎司に刺激を受けながら、もう一度、あの舞台に返り咲きたいと願う。
「近年はあまり試合に出られず活躍できなかったので、ここでもう一度輝ける選手になりたい」(水野)
「無敗記録を継続して優勝したメンバーに挑戦し、日本一厳しい練習のなかで成長できると思って、ここを選んだ」(青山)
今季の補強を改めて振り返り、城福監督がふたたび言う。
「もちろんファーストチョイスだったのかと問われれば、そうとは言い切れない部分もある。でも、限られた条件の中で我々はベストを尽くし、その結果として、このメンバーになって僕はよかったと思っている。サッカーといろんな向き合い方をした選手たちがこのチームには集まっている。その彼らがどんな化学反応を起こすのか楽しみだし、なにより僕自身が良い刺激を受けている」
24戦無敗という記録を作った既存の選手たちが作ったベースに、“リバウンドメンタリティ”を持った新加入選手が上積みをもたらしたとき、甲府が昨季の鳥栖の再現を起こしたとしても不思議はない。