新潟から獲得した石川が上本の代役か
【写真：松岡健三郎】
新潟から加入した石川直樹は、左利きのユーティリティ性が高いディフェンダーだ。昨シーズンの新潟では、鈴木大輔とセンターバックでコンビを組み、残留争いという厳しい戦いの中で貴重な経験を積んでいる。また左利きということもあり、2011シーズンは左サイドバックで出場することも多かった。
石川は左足のキック精度が高く、センターバックとしてはスピードもある。仙台は前述の通り上本が負傷で開幕に間に合わないことが濃厚なため、鎌田次郎とのコンビを組むポジションを、渡辺広大らと争うことになる。昨シーズンから仙台が取り組んでいる、高いラインの維持にはセンターバックにスピードが求められる。石川の特徴を考えると、開幕スタメンを掴んでも不思議はない。
東京ヴェルディから加入した和田拓也も、石川と同様、複数のポジションをこなすことのできる選手だ。ヴェルディユースから東京ヴェルディに加入し、両サイドバック、ボランチでプレー。昨シーズンは東京Vで主にボランチとして39試合に出場した。
仙台は左サイドバックの長く務めてきた朴柱成が契約満了となり、このポジションは空白となっている。2011シーズンの和田は、左サイドバックとして出場することが多く、朴の穴を埋めることが期待される。田村直也や、新加入の蜂須賀や島川などもこのポジションを狙っているだろうが、対人のディフェンスに強さのある和田に期待される部分は大きい。
最後に、草津から獲得したヘベルチは面白い存在だ。昨シーズンのJ2開幕戦でいきなり2得点をたたき出したヘベルチは、シーズン途中でC大阪へ期限付き移籍し、チームのJ1残留に貢献した。プレースタイルは昔ながらの攻撃的MFという趣が強く、左足の強烈なキックは魅力的だが、仙台の激しいプレッシングサッカーに対応できるのか疑問が残る。
ただそこは手倉森監督も織り込み済みのようで、新加入選手発表会見の席上でも仙台の守備についてトレーニングを積んで欲しいと言及している。ヘベルチは技術的な面では高いレベルにあり、それはC大阪でのプレーでも実証されている。仙台の前線は、2トップがウイルソンと赤嶺、攻撃的MFは梁勇基と太田がしっかりとポジションを掴んでいるため、レギュラー獲得への道のりは長いと感じられる。
ただ、守備のタスクをしっかりと身につけられれば、佐々木と共にジョーカーとして、対戦相手にとっては脅威の存在になる。また、リーグ戦とACLを並行して戦う際に、梁とローテーションできるようになれば、効果は計り知れないと言える。
