ユーティリティ性の高い選手を補強
今オフ、ベガルタ仙台が獲得した選手は、佐々木勇人、和田拓也、石川直樹、ヘベルチ、蜂須賀孝治の5人。それに加え、JFLのブラウブリッツ秋田に期限付き移籍していた島川俊郎と、横浜FCに期限付き移籍していた関憲太郎が復帰し、合計7選手が新加入となった。
一方チームを離れた選手は、現役引退した内山俊彦、関口訓充、原田圭輔、中島裕希、高橋義希、阿部陽輔、朴柱成、サッコーニの8選手。このうち、中島と高橋については昨シーズンから期限付き移籍でチームを離れており、純粋な減数としては6選手となる。
2008年からチームを率いる手倉森誠監督は、今シーズン6年目を迎える。昨シーズンは、高い位置からアグレッシブにプレスを掛けて主導権を握る戦いにチームを大きくシフトし、もともとの堅守に攻撃力をプラスして、終盤戦まで広島と優勝争いを繰り広げた。特に昨シーズン加入したウイルソンは赤嶺と2トップを組み、二人で26得点を挙げ、チームの躍進に大きく貢献した。その中で、主力級の放出は左サイドバックのレギュラーだった朴柱成と、攻撃的MFとして活躍した関口の2選手に止まった。
逆に獲得してきた選手は、どの選手もユーティリティ性の高い選手ばかりで、大きな予算を持つとは言えないベガルタ仙台としては的確な補強ができたと言えるだろう。ただ昨シーズン、セレッソ大阪から加入し、高いディフェンスラインの維持に大きな力を発揮していた上本大海が右膝前十字靱帯断裂の大けがを負い、開幕に間に合わないのは不安材料だ。
ガンバ大阪から加入した佐々木が関口の穴を埋める
新加入選手の中で注目すべきは、ガンバ大阪から加入した佐々木勇人だ。佐々木は2005年に加入したモンテディオ山形で頭角を現したスピードあるサイドアタッカーで、2008年にガンバ大阪へ移籍してからは、右サイドを主戦場にジョーカーとして対戦相手に脅威を与えた。佐々木は宮城県塩竃市の出身で、塩釜FCジュニアユース、ユースに所属しており、仙台はいわば地元のチーム。
年齢的には今年31歳とベテランの域に入ってきたとは言え、まだまだスピードは健在であり、地元に対する想いも強い。また、G大阪時代に何度もACLに出場している経験は得がたいものだ。仙台の右サイドは太田吉彰が昨シーズン見事なパフォーマンスを見せていたが、関口の抜けた穴を十分に埋められるピースと言えるだろう。