ボランチでポジションを確保できれば、代表もレベルアップできる
では、長谷部がボランチでのレギュラーを獲得し、さらにレベルアップするためには何が必要なのか。一番のカギとなるのはジエゴとのコンビネーションだろう。
ボルフスブルクの攻撃の要は間違いなくブラジル人のジエゴにある。シュツットガルト戦は攻撃陣が停滞していたが、ジエゴの個人技から2点を奪い、勝利している。
チームがさらに順位を上げ、質の高いサッカーをするためには、キングとして君臨するジエゴを活かすことを考えなくてはならない。前述の試合では、せっかくジエゴがいい位置にいてもボールが出てこないことが多く、またジエゴがボールを持っているときも味方のポジショニングのまずさからどこにも出せない状況が多々見られた。
長谷部がボランチとしてトップ下のジエゴに的確なパス出しをし、タイミングよく飛び出すことができるかどうか。ここを磨き、ジエゴ=長谷部のホットラインを築くことができれば、長谷部をボランチとして使わざるを得なくなるだろう。
そしてそれはすなわち、日本代表のレベルアップにもつながる。
前々から日本代表の課題として挙げられていたのは、攻撃をオーガナイズする遠藤保仁の代わりがいないことだ。だが、長谷部が遠藤と同等かそれに近いパス能力を身に付ければ、それは一気に解決することになる。
遠藤がマンマークで動けないときは、長谷部が代わりに攻撃の組み立てをすれば、相手の“遠藤潰し”の戦術を打ち破ることができる。また、遠藤が万が一ケガをした場合は、代わりに守備力の高い細貝萌を起用し、長谷部が遠藤の代役としてプレーすることも考えられる。
クラブと代表は別物ではない。クラブで成長すれば、それは代表で活かされる。もちろん、このことはJクラブでも一緒だ。
長谷部がボランチとしてレギュラーを獲得したとき、日本代表がブラジルW杯で輝ける道筋が見えてくるはずだ。
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