証言1「夫婦だって理由なく別れることがあるでしょ」
わずか一年前、最終節まで逆転優勝の可能性を残し、結果的に3位に終わったものの、クラブ史上最高の勝ち点を記録したガンバ大阪は、あまりにも対照的な最終節を終えていた。
得点数こそ、前年同様リーグ最多の数字を叩き出したものの、12月1日のJ1リーグ最終節、ジュビロ磐田戦では、今季を象徴するような「取り切れず、守りきれず」という低調な内容で完敗。Jリーグでは唯一、5年連続でACL出場を果たしていたことからも分かるように近年、最も安定した成績を残していたはずの西の雄は前年までの実績が嘘のように17位でクラブ史上初のJ2降格を強いられた。
それにしても、わずか一年の時を隔てただけで、これほどまでに異なる立ち位置でリーグ最終節を終えたクラブがあっただろうか。
20周年の歴史を積み重ねてきたJリーグ。記憶に残らない栄冠さえある一方で、永遠に語り継がれる失態もある。近年の日本サッカー界を牽引してきたガンバ大阪の降格は、ある意味で「喜劇」にも似たシナリオに沿ったものだった。
毎シーズン、3つのクラブが否応なく見ることになる降格の憂き目だが、ガンバ大阪が見せた転落の軌跡は過去に例がないものだ。黄金期を築き上げた主力が、極端に力を落とした訳でもなければ、マネーゲームに敗れ、主力を他クラブに引き抜かれるハプニングに見舞われた訳でもない……。
栄枯盛衰がつきものの、残酷なサッカー界にあって、ガンバ大阪の降格劇が他と異なるのは、自ら破壊へのスイッチを押してしまったことに他ならない。
クラブ史上最大の屈辱にまみれた日から、わずか5日後のこと。クラブハウスの前で金森喜久男社長は、どこか脳天気な口調で今季の迷走を総括した。
「今年は確かに監督選びに失敗しちゃったけどな……」