リバプールからの関心は本当か?
移籍報道の場合、スカウトや強化部などチーム関係者の証言を元に行うのが一般的かつ最も確実な方法だ(代理人からの情報は売り込みのためのガセも多い)。では、そんな取材規制の厳しいリバプールから一体全体どうやって関係者の証言をとり、移籍情報として報道したのか。一連の報道を見ていると、その方法ではないようだ。
現地の情報を拾い(こう書くと多少聞こえはいいが、要するにウェブニュースを翻訳しているだけ)、それを発信する。直近のものだと、「デイリー・スター」紙のものを通信社が拾い、スポーツ紙が報じている。
デイリー・スターは、イギリスのタブロイド紙。タイムズやガーディアンなどとはまったく種類の異なるメディアだ。嘘か真かわからない情報を扇情的に報じて売っている。きわどいエロ記事もある。
そもそも、イングランド人記者に聞いた話では、現地のメディアはあまり他国リーグをチェックしていない。香川真司の加入前には、彼のことをストライカーだと思っていた記者もいたという。デイリー・スターの記者は本田がどんなプレースタイルなのか知らずに記事を書いていた可能性すらある。
果たして、そんな情報に信ぴょう性があるだろうか。
また、昨年、ツイッター上では海外メディアの翻訳をし、それを新聞社に売っている学生が見つかっている。ようするに、私たちは学生バイトが見つけてきた情報に踊らされていたことになる。この学生のツイッターを信じるなら、リバプールの情報もそうやって生み出されたものだ。
本田はリバプールでプレーするにはまったく問題ない実力を持っている。だが、肝心のオファーは本当にあったのだろうか。“関心”があったかどうかもかなり怪しい。
数ある噂の中で、最も多く話題になったリバプール移籍話であるが、私は最も可能性の薄い話だと思っている。