本田をめぐる誤報とリバプールの噂
たしかに異常な盛り上がりだった。イタリアの報道に日本のメディアが食い付き、さらにそこを再度イタリア側が拾い、また日本が…と雪だるま式に大きくなっていった。中には本田がバルセロナにいるにもかかわらず、「ローマでラツィオ会長と会食中」と誤報を打つメディアもあった。
移籍情報は新聞や雑誌を売るための格好のネタだ。話半分としながらも、読者も(私もその一部だ)ある程度は楽しんでいる部分もある。とはいえ、1つの報道が選手の人生を左右しかねないこともあるのだ。月並な意見だが、多少の煽りは仕方ないにせよ、タブロイド紙ではない一般のスポーツ紙が誤報を打つなど論外である。
かつての中田英寿もそうだったが、本田もメディアに対してつっけんどんな態度を取ることがある。選手が不利になるような情報を流しておいて、「今日の調子は?」などと何事も無かったかのように近寄ってくるのだから、冷たく受け流したくなる気持ちもわかる。
誤報とまではいかないかもしれないが、毎回話題になるリバプールの件もそれに近いのではないかと思っている。そこにはプレミアリーグ特有の事情がある。
プレミアリーグは他国に比べて、外国メディアが取材しにくいリーグだ。試合の取材もライセンスが必要だし、ミックスゾーンに出てくる選手もクラブがコントロールしている。香川真司のコメントがドイツの時より圧倒的に少ないのはこのためだ。監督インタビューなどもってのほか。現地メディアを挟んでようやく、というのが現状だ。
その中でも特に厳しいのがリバプール。現地のごく限られたメディアしか取材することはできず、日本人記者がアンフィールドに入るには、管轄が変わるチャンピオンズリーグを狙うしかない。余談だが、リバプール戦は試合日だと、市内ではTV放送されないという。チケットを売るための措置だが、日本にいた方がリバプールの試合自体は多く見られるのだ。