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サッカーを遊ぶ南米、サッカーを遊ばない日本(後編)

text by 植田路生 photo by Kenzaburo Matsuoka

まず想像できるか、そしてそれを実現できるか

――Jリーグを見ていて、このチームは面白いとか、この選手はクリエイティブだとか思う人がいますか?

「今の柏はたまたま勝ったからじゃなくて、いろんな人がいろんなポジションをやって、スタメンが何十通りもあるという、クリエイティブなチームだなと僕は思いましたね。チームとしてね。個人的に言うと、やっぱりフランサが印象にありますね。

 来日したときは、チーム自体は今のレイソルみたいに強いわけじゃないんだけど、これはもう出口がないだろうというところを、誰も想像していないようなところにポンと出して、『わぁ、クリエイティブだな』と思ったね。若手だと、ヴェルディの河野(広貴)を見たときは、ドリブルは多いかもしれないけど、『おっ』と思ったし、香川だってそう思った」

「面白いと言ったら、僕も同じ考え方で、フランサが柏にいいものを残したと思う。若い人たちが結構フランサに影響されているんじゃないかな。会ったことある? めちゃくちゃ面白いよ。変わっているんだよ。天才はみんな変わっているからね。だけどそういう変わっている人は、日本だとみんな平均でいかなきゃならないし、平等でいかなきゃならないから、そこはまた難しい。日本の天才もいっぱいいるんだけど、なかなか育てにくいんだ」

――今、名前が出た選手はみんな攻撃的なポジションですね。

「クリエイティブって言ったらどうしても、スペイン語で言う『ランソドール』、アメフトのクォーターバックみたいなスルーパスを出す人がクリエイティブと思われているけど、実際は僕はそうとは思わないので。そこも1回ちゃんと考え直さないと。サイドバックでもそうだし、監督もそうだし、チームもクリエイティブさが必要。柏みたいな。そういう国にならないと日本もなかなかレベルアップしないんじゃないかな。

 80年代に活躍したジュニオールがフラメンゴに行ったときにサイドバックをやっていたんですよ。ある試合でフラメンゴのキーパーが抜かれたんです、シャペウで。それをジュニオールが追いかけていた。普通にクリアしちゃうとゴールになっちゃうから、1回ボールを追い越して、ヒールでクリアしてゴールを越えたんですよ。これもう、クリエイティブ」

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