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サッカーを遊ぶ南米、サッカーを遊ばない日本(後編)

【対談】マリーニョ×亘崇詞
南米の選手の創造性はどこから生まれてくるのか? ブラジル人のマリーニョ氏、アルゼンチンに精通する亘崇詞氏に話を聞き、その源泉を探った。構成:植田路生

text by 植田路生 photo by Kenzaburo Matsuoka

【前編はこちらから】 | 【サッカー批評issue54】掲載

面白い選手は出てきたがまだまだ足りない

――日本の選手の創造性はどうでしょう? 昔と比べると。

「ホント、日本はレベルが上がっていますから。南米に行けば、『すごいな、うまいな、クリエイティブだな』とは言われない選手かもしれないけど、以前は例えばトルコ人なんかがが担っていたところを、安価で話題性もあって献身的でということで、例えばドイツやオランダのチームに評価されていると思うんですね」

「面白い選手も少し出てきた。少しな。まだ物足りないと思うんだけど。中村(俊輔)、小野(伸二)、香川(真司)みたいなのが、50人くらいいれば、認めるよ」

――マリーニョさんとしてはまだまだ足りない?

「まだまだ。もっともっと。中田(英寿)とか俊輔はブラジルとアルゼンチンだったら普通の選手です」


マリーニョ「香川のような選手が50人くらいいれば」【写真:松岡健三郎】

「例えばナポリで活躍するラベッシやカンパニャーロなんか、もともと3部の選手。だから南米の2部・3部とかにも十分、日本で言えば、クリエイティブで、『ウチのクラブに欲しい』という選手がたくさんいる。その懐深さというか、層の厚さ、というのはまだまだ差はあるのかなと思う。

 日本は急激に伸びてきた国だと思うので、そういうやり方をやる中でクリエイティブな子が必要なんじゃないかという声が今上がっているとは思うんですけど、急にブラジルやアルゼンチンのやり方をやっても、今度は今まで伸ばしたものがもったいなくなる。日本として、どう伸ばしていくか、今の成長を保ちながらクリエイティブさを出していくというのは、ちゃんと考えなきゃいけない。そのバランスが一番大事なところなんじゃないですか。急にクリエイティブな子が欲しいから、じゃあ、ってやっても、なかなか出てこないですよ」

――日本もうまい選手は出てきているけど、もっとその数を増やさなきゃいけない、と。

「そう。J2にもJFLにもそういう選手がいないと。いつも言うのが、『あの人すごいよね』って。じゃあ、南米の2部・3部に行ってすごいって言われるかな。ブラジルは3部とかにも大発見な選手はいっぱいいますよ。JFLだからしょうがない。暑い中、11人でやっているから長いボールしか駄目で……。

 そんなんじゃなくて、3部にも何人かいて、2部にも何人かいて、大学にもいて、とならないとマリーニョさんが言っているような50人ってのはできない。よく言う、超高校級とか、10年に1人の逸材とか、それじゃだめですよ。認められないですよ。10人、100人いるとならないと」

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