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日本代表 12年前

フランス人ジャーナリストが斬る日本代表「ジャポンはスウェーデンやクロアチアと同じレベル」

text by 田村修一 photo by Kenzaburo Matsuoka

さらに試合の中で、長所を生かして爆発するときもあれば、弱点を露呈して圧倒的に押し込まれるときもある。安定性・継続性を欠き、フランスに勝ちながら、続くブラジル戦で大敗するのはバカバカしすぎる。

 ザッケローニもそこはよくわかっているから、改善の余地をはっきりさせるために、欧州で強豪国とのマッチメークをしたのだろう。日本はアジアでは自由にボールを支配して、守備に回ることはほとんどない。力関係が変わったときに、初めて明らかになる問題はたくさんある」

 左右のバランスが取れていなかったと、ベルドネは主張する。
「左は長友と香川がいて強かったが、岡崎慎司が欠場した右サイドは、左に比べて見劣りした。それから足りないのはストライカーだ。マイク・ハーフナーには大いに失望した」

敗れたフランスのショックは小さくなかった

 敗れたフランスのショックは小さくなかった。スペイン戦のための試合とはいえ、地元での敗北という結果は、選手と監督に少なからぬ精神的打撃を与えたのだった。
「デシャンにとってはショックだったし、メディアの幾つかのコメントに彼はナーバスになった」

 ガドリフは振り返る。不安を抱えながら、フランスはマドリーへと旅立った。そしてその不安は、ビセンテ・カルデロンで午後9時に試合がキックオフされたときに、現実のものとなった。ベルドネが回想する。
「前半のフランスはスペインに完全に支配され、いいようにボールを回され何もできなかった。先制されたうえに、ロリスがPKを止めなければ、試合は終わっていただろう」

 ところが後半になると、状況は一変する。疲れのせいか、急激に運動量が落ちたスペインに対し、頑強な選手を並べたフランスが、中盤で優位に立つようになった。「前半は抑え気味に様子をうかがい、後半に勝負をかけて相手を驚かせるのがデシャンの戦略だった」とベルドネは解説する。

 ゴナロンに代えて、57分にバルブエナを投入したのがそれだった。同時にデシャンは、システムも4-3-3から4-2-3-1へと変更した。「バルブエナをベンゼマの後ろ(トップ下)に置くとは、誰も思っていなかった。彼のテクニックを生かすためのオプションで、中盤に絶妙なリズムを与えた」

 同点弾はロスタイム、それもほぼ最後のプレーとなった94分のコーナーキックからジルーが決めたものだが、「納得できるものだった」とガドリフは言う。「ベンゼマに代えジルーを入れたデシャンの判断も的確だった。あのままベンゼマが残っていたら、はたして得点できたかどうか」

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