Jからのオファーを待つレアンドロ
では、レアンドロのケースはどうだろう。
昨季7月にガンバ大阪に期限付き移籍という形で戻ってきたレアンドロ。リーグ戦では15試合で14得点。チームは降格してしまったが、改めてその決定率の高さを見せつけた。前述の森本氏は語る。
「レアンドロは、所属チームに居場所がありませんでした。彼のいたアル・サッドは中東でも随一のビッグクラブ。一昨年のクラブワールドカップのメンバーを見ればわかると思いますが、カデル・ケイタ、ママドゥ・ニアンなどスター選手が数多くいます。さらに昨年5月にはシャルケからラウールも入ってきた。彼にチャンスは回ってきません」
レアンドロは中東へ移籍初年度こそ21試合20ゴールと活躍したが、その後は次々と加入する欧州からの選手たちに押し出され、出場機会を失っていった。現在27歳と選手としては一番脂が乗っている時期だ。中東で埋もれてしまうよりも、チャンスを求めて動いた方が自分の価値は高められると判断したのだ。
ところで、ダヴィとは違い、レアンドロの移籍先はまだ決まっていない(1月10日現在)。次はどこでプレーするのだろうか。
「ヨーロッパ、そして日本のクラブへの移籍を考えているでしょう。彼は再就職に必死でした。でなければ、天皇杯まで残ってプレーしたりはしないですよ。移籍金は安くはないですが、Jクラブからのオファーを待っている状態です」(森本)
関係者の話ではレアンドロには複数のJクラブがオファーをしたと伝えられているが、現在の動きを見るとあまり交渉は上手くいっていないようだ。移籍金は明かされていないので正確な金額は不明だが、億単位の金額なのだろう。
だが、このままどこからも折り合うオファーがなければどうなるのか。試合に出る見込みのないアル・サッドに帰るよりは、移籍金や年俸を下げてでも新天地を見つけたい、と本人や代理人が働きかけることは十分に考えられる。
Jクラブに求められるのは、選手たちよりもしたたかな補強戦略だ。もしレアンドロが欲しいなら、言い方は悪いが“足下を見て”移籍期間ギリギリで交渉を進める。マーケットが閉まる直前であれば、選手側や元のクラブの設定よりも低い金額で交渉が成立することはヨーロッパではよくあることだ。
得体の知れないブラジル人に浅はかな期待を抱くよりは、確実に活躍が見込める選手に狙いを定め、粘り強く交渉すること。クラブの力は、こういった交渉を巧みにこなせるかどうかでも測ることができる。