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日本人がカンプ・ノウでプレーする日(後編)

text by 北健一郎 photo by Kazuhito Yamada

 バルセロナの華麗なポゼッションサッカーの“中枢部”を担っているのが、メッシ、シャビ、イニエスタといった、カンテラの選手たちであることは言うまでもない。バロンドールの1位-3位までを独占した選手の中に割り込むのは、どんなスーパーな選手であっても難しい。バルサで核となる選手になるには、カンテラから上がっていくことが結果的に一番の“近道”なのかもしれない。

 もちろん、バルサのカンテラに入ったから自動的にバルサの選手になれるわけではない。カンテラには数多くの選手が所属するが、そこからトップに上がれるのは毎年1人か2人だ。チーム内におけるサバイバルは日本のクラブとは比較にならないほど厳しい。下部組織に所属する選手は、学年毎、毎年3-4名ほどの選手が入れ替わるという。

 実際、建英君の入団時は本人含め4人の選手が新規加入した。所属人数は変動しないため、新規加入する選手の数だけ、下位のチームや他チームに移籍する選手が出ることになる。

「新しい選手は毎年入って来ます。しかも、セレクションで募集するのではなくて、スカウティングされた人材が入ってきますから、質は高い。しかも、『ここのポジションに、こういう選手が欲しい』というビジョンを持っている。センターバックの選手のビルドアップに難があれば、ビルドアップのうまい同じポジションの選手が入ってくる。カンテラで生き残っていくには、常に上回り続けなければいけないので、全く気が抜けません」

1日1日が真剣勝負となるバルサのカンテラ組織

 Jリーグの下部組織では、入ってしまえば基本的に3年間は時間が与えられる。しかし、カンテラでは1日1日が真剣勝負になる。シビアな世界で揉まれることは、日本ではなかなか味わえない経験だろう。

 これまで、ヨーロッパのトップリーグのクラブの下部組織からトップチームと契約した選手はいない。今はまだ、絶対的なサンプル数が少ないが、これから、トップチームと契約する選手が出てくるなどモデルケースが増えていけば、若年層から海外に挑戦するという流れは加速していくことが予測される。

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