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日本人がカンプ・ノウでプレーする日(後編)

『久保建英君から見るバルサの育成メソッドと若年世代における海外移籍の利点と弊害』
バルセロナで日本人選手がプレーすることは可能なのだろうか。そこに至るには、まずバルサのカンテラ事情を紐解く必要がある。昨年、カンテラへと加入した久保建英君のサポートをする浜田満氏に話を聞き、バルサの育成メソッド、そして若年世代の海外移籍について探った。

text by 北健一郎 photo by Kazuhito Yamada

【前編はこちらから】 | 【フットボールサミット第9回】掲載

13歳までにバルサのコンセプトを学ばなければ、決定的な差が生まれる

 海外組の低年齢化は進んでいる。一昔前なら、Jリーグで経験を積んで、日本代表に選ばれてから海外に行くというのが一般的な海外移籍の流れだった。しかし、中京大中京高校からアーセナルに加入した宮市亮(現ウィガン)のように、Jリーグを経由せずに海外に挑戦する選手も増えている。

 若いうちに海外に挑戦するメリットはいくつかある。

 1つは言語を習得するスピードが速くなること。建英君はスペインに渡ってから約1年だが、地元テレビのインタビューでは通訳をつけずにスペイン語で当たり前のように質問に答えていた。

「毎日学校に行って、カタルーニャ語で授業を受けて、午後からはマシア(バルセロナの練習場。昨年閉鎖された選手寮もこう呼ばれていた)でスペイン人のチームメートと話しているので、それは覚えますよね。コーチやチームメートともスペイン語で普通にコミュニケーションをとれます。自分の意見を自分の言葉で直接伝えられたり、コーチの指示を通訳を介さずに聞けるのは、サッカー選手にとってすごく大事な能力です」

 日本人選手が海外に挑戦するとき、ぶち当たるのが「言葉の壁」だ。通訳と常に一緒にいると、どうしてもタイムラグが生まれてしまうし、チームになじむのも遅くなってしまう。早いうちに海外に飛び込み、言葉だけでなく文化も吸収すれば、ピッチの内外でアドバンテージになるのは間違いない。

 そして、もう1つがその国のサッカーをより早いスピードで習得できること。バルサのトップでプレーする選手になりたいなら、「12歳までにヨーロッパに来たほうがいい」と浜田氏は言う。

「特にスペインは早いほうがいい。他の国のことはあまりわかりませんが、特にバルセロナでは13歳までに覚えなければいけない基本となるサッカーのコンセプトがたくさんあるんです。

 弊社で一緒に仕事をしているサッカーサービス社のジョアン・ビラ氏(現在はFCバルセロナのメソッド部門責任者)やダビッド・エルナンデス氏がよく言っているのですが、13歳以降は、それぞれのポジションごとに、もっと細かいコンセプトを覚える段階なんです。それは、土台がないとできないんです。13歳までに身につけるべきコンセプトを身につけなかった選手は、年齢が上がっていくにつれて難しくなっていきますね」

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