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日本人がカンプ・ノウでプレーする日(前編)

『久保建英君から見るバルサの育成メソッドと若年世代における海外移籍の利点と弊害』
バルセロナで日本人選手がプレーすることは可能なのだろうか。そこに至るには、まずバルサのカンテラ事情を紐解く必要がある。昨年、カンテラへと加入した久保建英君のサポートをする浜田満氏に話を聞き、バルサの育成メソッド、そして若年世代の海外移籍について探った。

text by 北健一郎 photo by Kazuhito Yamada

【後編はこちらから】 | 【フットボールサミット第9回】掲載

バルサのカンテラに選ばれるのは“バルサの特徴を持った”選手

 バルセロナのカンテラに日本人の少年が入る――。

 そんな『キャプテン翼』のような話が現実のものとなった。2011年4月、川崎フロンターレのU-10チームに所属していた久保建英(くぼ・たけふさ)君が、メッシ、シャビ、イニエスタなどバルサの中軸となる選手を輩出してきた下部組織、通称カンテラへ入団を認められたのだ。

 カンテラは7歳以上の地元出身者が対象で、外国人の入団は原則13歳からしか認められていない。そのバルサのカンテラに日本から初めて入った建英君は、当時わずか9歳。彼のカンテラ入団のアテンドをしたのが、アメイジング・スポーツラボジャパン(ASLJ)の浜田満氏だ。

「小1のとき『バルサに入りたい』とお父さんに言ったことが最初のきっかけだったようです。お父さんは、どうすれば日本人がバルサのカンテラに入れるのかを調べて、僕たちの会社が運営しているバルサのサッカーキャンプのことを知ったんですね。このサッカーキャンプではMVPに選ばれた選手が、特典として現地のバルサスクール選抜の一員として国際大会に出場できます。毎年、それを狙ってくる選手は何人もいますが、建英君もその1人でした」

 バルサのカンテラに日本人が入るには、大きく分けて2つの方法がある。1つ目が、バルサのスカウトが来そうな国際大会で活躍すること。2つ目がバルサスクール選抜の一員として国際大会に出場し、その大会で活躍すること。つまり、バルサキャンプでMVPになって国際大会に出場することが、当時の日本人選手ができる、ほぼ唯一といっていい手段だったのだ。

 このキャンプはバルサのコーチ陣の直接指導が受けられるとあって人気が高い。対象年齢は小1から中1までで、関東と関西をあわせて300人以上の選手が参加する。その中でMVPになれるのは1名のみ。実力に自信があったとしてもMVPになれるわけではない。例年、MVPにはどのような選手が選ばれているのだろうか。

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