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日本代表 12年前

ザッケローニの手腕とマネジメント ~気鋭の論客4人が徹底討論~(後編)

text by 植田路生 photo by Kenzaburo Matsuoka


遠藤保仁の後継者は誰になるのか?【写真:松岡健三郎】

遠藤の後継者は誰になるのか?

――たしかに。遠藤(保仁)の後継者がいないことはずっと指摘されてきましたが、未だに改善されていない。彼の代わりになれるような選手は出てきていません。

三浦「でもそれは、アルゼンチンでのメッシやイタリアでのピルロのような状況と一緒だよ。どこのチームにもあること」

羽中田「そうそう。これまでは(遠藤が)いるのが普通だったけど、いないのが普通になれば、意外とやれると思いますよ」

飯尾「今は遠藤を中心につないで崩す形が多いですが、遠藤がいなければ、サイドハーフに宮市を置いて、彼に預けて縦に突破させてゴール前に迫る、みたいな戦い方が見られるかもしれません。もちろん宮市の成長次第ですが」

羽中田「戦い方を変えるということ? 遠藤タイプを置くのではなく?」

飯尾「それももちろん、アリなんですが現状いないですよね。家長(昭博)を試したがダメで、憲剛もない。以前、憲剛に話を聞いたときに『ボランチで使われたことはない』と言っていましたから。フィジカル面が問題かもしれません。扇原(貴宏)を使ったり、本田を下ろしたりというのもあると思いますが、ザックの芯にあるのは3-4-3。それもバルサのような深みのある3-4-3ではないから、ポゼッションへの固執はそれほどない。3-4-3をしなくても、純粋なウインガーの宮市を面白いと思っているんじゃないかな、と」

羽中田「宮市を使わないのは本番まで隠しておきたいからからだと思っていたよ。ジョーカーとして」

三浦「無理ですよ、プレミアでプレーしているんですよ(笑)」

里内「チームづくりで言えば、本気モードの強豪とやれたことで、自分たちの立ち位置を知れた。普段のアジアの国との対戦と違って攻め込まれる場面も多かったですから。ブラジルとやらなければわからないことも多々ありますから、非常に大きな経験になった」

三浦「アジアは弱い相手が多いので、ずっとハッピーな状態で本番を迎えて、W杯で地獄を見る、なんていう悲劇もありえなくはない話です。強い相手とやって、できることとできないことが初めてわかる」

里内「アジア予選は他の大陸よりも早く終わる。終わってからW杯までの1年をどう過ごすか。これがカギですね」

飯尾「ザックはブラジル戦の後、日本代表の成果について『自分のイメージよりも低かった』とコメントしています。もうちょっとできるのでは、と想定していたと思います。だからチームづくりはここで出た課題を解決するためにどう舵を切っていくかが重要。今回の遠征はターニングポイントになる、というよりしなきゃいけない」

【了】

初出:サッカー批評issue59

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