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日本代表 12年前

ザッケローニの手腕とマネジメント ~気鋭の論客4人が徹底討論~(前編)

text by 植田路生 photo by Kenzaburo Matsuoka

アタッカーを自由に動かさないザックの戦術

――ザックは戦術面での指示がかなり多いそうですね。

三浦「練習を見たことがありますが、さすがイタリア人だけあって細かいですよ。守備はもちろん、攻撃でも決まりは多いと感じました。個人での勝手なプレーはさせません。『自由にプレーしなさい』と言われると戸惑ってしまう日本人に合っていると思います」

里内「以前、乾(貴士)がスッと中に入っていったら、怒られたそうです。セレッソのような2列目の流動性はあまり求められていないのかもしれません」

飯尾「サイドハーフが早い段階で中に入ることをとにかく嫌いますね。(ボールを)奪われたときに(外の)スペースが空いてしまうので。それと、相手のSBの攻撃参加への抑止力という意味もあるようです。ある程度外に張っていることで、DFラインを広げさせて穴を空けたい。そこに入っていけ、と。岡崎(慎司)はそれが上手い。香川は早く中に入ってしまうので、ザックによく注意されていますが、乾にはもっと厳しい(笑)」

里内「SBとCBの体の向きにもこだわっていますよね。SBとCBの間にパスを通させるな、と。Jだと中村憲剛くらいしかそういうパスは出せませんが、海外のトップレベルでは普通にありますからね」

飯尾「守備ではサッキのミランに強く影響を受けたそうですが、三浦さんそれは感じますか?」

三浦「いや、今のところはアジアの国との対戦が多くて、多くの時間ボールを回せるのであまりそのような場面は出てこない感じですかね」

飯尾「以前、ザックにインタビューしたとき、『サッキの守備哲学とクライフの攻撃的な志向に影響を受けていて、私のスタイルはちょうど真ん中だ』と話していました」

一同「えっ?!(一同一瞬固まる)」

――ということは、両サイドハーフにウインガーのような役割をさせているのでしょうか? 正直、あまり感じられないのですが…。

飯尾「いや、初めは外に張っていて、バイタルエリアで中に入って行け、というイメージです。だから、縦オンリーではなく、シャドーのように初めから中でもない。そこはオリジナルでしょう」

羽中田「そうだよね(笑)。アヤックスとかのウイングとは大分違うもんね」

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