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日本代表 12年前

ザッケローニの手腕とマネジメント ~気鋭の論客4人が徹底討論~(前編)

text by 植田路生 photo by Kenzaburo Matsuoka

問題なのは一つの戦い方しかできないこと

――たとえば誰でしょう?


吉田と今野はもっとロングフィードをチャレンジするべき【写真:松岡健三郎】

羽中田「CBの2人ともですね。ロングフィードと言っても単純にFWに放り込むとかではなく、サイドに散らす。短いパスばかりだとひっかかることもあるので、相手を揺さぶる意味でももっとチャレンジしていい。今はバルサのサッカーが好きな選手が多いと思うけど、バルサもボランチに付けるだけじゃなく、サイドへのロングフィードは効果的に使っている」

――バルサ=ショートパス、という短絡的な結び付けをしてしまうと危険だと。蹴らないのは技術的な問題ですか?

飯尾篤史(以下、飯尾)「吉田(麻也)も今野(泰幸)もロングフィードを蹴る能力はあります。ただフランス戦の後、2人をはじめ多くの選手が『もっとつなげた』と話していて、その反省を踏まえて迎えたのがブラジル戦でした。だから、ポゼッション志向に極端に傾いたんだと感じます」

三浦「問題なのは1つの戦い方しかできないこと。本当に強いチームは試合の流れに合わせて、遅攻と速攻を上手く使い分けることができる。もちろん選手だけじゃなく、我々指導者も含めた日本サッカーあるいは日本人全体の問題だと思いますけども」

里内「私が帯同した五輪のチームもそうでした。永井(謙佑)に前線から激しくチェイスをさせましたが、永井がケガをすると苦しくなってしまった」

飯尾「ザックは攻撃的なスタイルを好みますが、掲げているコンセプトはバランスであって、つなぎ倒して勝つ、というのは頭にない。でも、選手からはそれを感じる。このギャップをどうマネジメントしていくか、今後の腕の見せ所ですね」

――今までザックと選手がお互いに信頼して結果も出せていた。ただ、意識にズレがあると歯車が噛み合わなくなる可能性もある、と。

三浦「今後はなきにしもあらず、ですね。だからこそ今後のコントロールが重要になってくる。ただ、次の相手はオマーン。遅攻も織り交ぜられるバランスのあるチームづくりを進めたいところですが、楽にポゼッションできてしまう。そういった点は代表監督の難しいところだと思います」

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