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Jリーグ 12年前

柏レイソルは、なぜ天皇杯で優勝することができたのか?

text by 後藤勝 photo by Kenzaburo Matsuoka

倉田秋「今日みたいに一発を決められて終わっていくのが今シーズン」

後半、しっかりとブロックを敷いて引いた守りを徹底し、相手のセンターバックにボールを持たせる作戦に出た柏に対し、ガンバはブロックの外でボールを廻すばかりで何もできなかった。

ポゼッションサッカーで勝つならそれでもタテパスやワンツー、ミドルシュート、サイドチェンジなどを機に前後左右に揺さぶる作業が欠かせないが、そうした有効打はついぞ見られずじまい。

結局、守備のディシプリンを崩さず、球際の激しさを失わず、笛が鳴るまで走りきった柏を、ガンバは攻略することができなかった。

 夏期補強前から低迷するガンバで孤軍奮闘の感が強かった倉田秋。ジェフユナイテッド千葉(J2、リーグ戦8点)とセレッソ大阪(J1、リーグ戦10点)で外の世界を見てきたせいか、とりわけチームのなかでも自軍の欠陥を強く認識し、危機感を抱いているように思える。

 彼は自分のチームをこう評した。

「いつもそうなんです。入りはいいし、前半はいい。でも今日みたいに一発を決められて終わっていくのが今シーズン」

「(前半は)いい流れだったと仰いますが、最高のサッカーをしていたわけではなかった。(来季は)J2ですが、もう一回イチからやり直していくしかないと思います。全員がレベルアップして戻ってきたい」

「勝負弱い。一人ひとりは手を抜いていないですし、がんばっているけれども、決めるべきところで決められない」

「柏はボールに対する執着心、絶対に勝つという意欲が(自分たちより)上だった」

 ガンバにも勝ってACLに行きたいという強い気持ちはあったのではないか、と、問うと、次のように答えられた。

「なかったわけじゃないですよ。全員、そういう気持ちでやっていたし。誰も力を抜いている人はいなかった。けど、ガンバらしいというのか、それを表現しないというのか。(いままで)それで表現しなくともできたのかもしれないですけど……難しいですね」

 闘志の直接的な表現に関係ない技巧的なプレー、崩しによって点を獲り、勝利してきたのがガンバのサッカーでありカルチャーだった。ただ、それがうまくいかなくなってきて、見直しを迫られ始めたときに、きちんと見直すことができたかったのが、今季のガンバだったのではないだろうか──。

「今シーズンは反省するところばかり。それがわかったことが、唯一の収穫です」

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